スペイン戦に同国の指導者がアドバイス。「試合マネジメントを間違えるな」
「かなり苦労した末の勝利だった。日本のプレーコンセプトは『いい守備がいい攻撃を作る』ところにあるが、その象徴である酒井宏樹の出場停止の影響が色濃く出ていた」
スペインの"名伯楽"ミケル・エチャリはそう言って、東京五輪男子サッカー準々決勝の、日本がニュージーランドを延長、PK戦の末に下した試合について振り返っている。エチャリは、バスク代表(FIFA非公認)監督という栄誉職を名将ハビエル・イルレタなどと15年以上も務めてきた。それだけでもスペイン国内でどれだけリスペクトされる人物かわかるだろう。
「苦戦した理由のひとつは、ニュージーランドの健闘もあるだろう。少しプレッシングを浴びただけでミスが出るなど、技術的にはレベルの低いチームだが、長いボールを2トップに蹴り込み、ダメージを最小限にし、巧妙にペースを作っていた。日本を研究していたのは間違いない」
エチャリはそう言って、ニュージーランド戦の検証を開始した。
ミケル・エチャリが高く評価する田中碧だが、ニュージーランドに封じ込まれたこの記事に関連する写真を見る「日本のシステムはいつもの4-2-3-1だった。酒井の不在で、橋岡大樹が右サイドバックに入っただけでなく、フランス戦から代わって、左サイドバックに旗手怜央、左アタッカーに相馬勇紀、1トップに林大地が入った。
対するニュージーランドは3-1-4-2、もしくは5-1-2-2。両ウイングバックが上下動する形だが、特徴はアンカーのジョー・ベルだろう。どんなシステムでも、ベルはフォアリベロ(DFの前のリベロ)のように守備を分厚くしていた。特記すべきは、インサイドハーフ2人を遠藤航、田中碧にマンマークに近い形でぶつけていた点だ。そこが日本の攻撃の源だと読んだのだ。
日本は敵陣で積極的にプレッシングをかけていない。引き込むことでカウンターを狙っていたのか、疲労を考慮してプレスのラインを低くしていたのか、定かではない。ただ、ほとんど勝手にボールを失うレベルのニュージーランドに対し、じわじわと攻める手段を取っていた。
久保建英、堂安律のコンビネーションは完全に相手を凌駕している。CKから林のクロスに遠藤がファーで合わせたシーンは、フリーで空っぽのゴールに蹴り込むだけだったが、これを外すと、苦戦の予感がよぎった。
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