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U-24日本代表は白星発進も苦戦。最大の課題は「規律なき流動性」 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by JMPA

 相手が引いて構える時は、それこそ大外から丹念に、皮を1枚ずつ剥ぐように侵入していくのが基本。先日、日本が対戦したスペインは、ウイングとサイドバック(SB)、それにインサイドハーフを加えた3人で、サイドに数的優位な状況を作っていた。

 相手のセンターバック(CB)をサイドにおびき出すことができれば、しめたもの。中央が手薄になったそのタイミングで、マイナスの折り返しを送れば、後は合わせるだけになる。シューターは、相手GKとディフェンダーとボールを瞬間、同時に視界に捉えることができるので、そのキックの難易度は下がる。得点の期待が高まる瞬間となる。

 だが、このセオリーにしたがった攻撃が、日本はできていなかった。サイド攻撃は散発。ウイングとSBが中心となり、サイドで数的優位を作りながら、コンビネーションでえぐっていくシーンは、右サイドで1、2回あったかどうか。左は、ほぼ単独攻撃に限られた。

 引いた相手をどう崩すか。考えながらプレーしているようには見えなかった。ベンチから指示が飛んだフシも見られなかった。4-2-3-1の2列目に並ぶ(左から)三好康児、久保建英、堂安律の3人は、早い段階から真ん中の密集地帯に入り込み、難易度の高い、強引とも言うべき無謀な突っ込みをくり返した。

 身長167センチ(三好)、173センチ(久保)、172センチ(堂安)。3人は本来なら、「柔よく剛を制す」の精神で、相手の大型CBに対峙することが求められるはずだ。鮮やかな決勝ゴールをマークし、帳尻を合わせる格好になった久保はともかく、堂安、三好は貢献度の低いプレーに終始した。

 この3人についてさらに言うならば、それぞれはポジションを頻繁に変えていた。堂安のポジションはどこなのか。久保のポジションはどこなのか。不鮮明な状態に陥った。流動的といえば聞こえはいいが、流動をくり返せば3選手の絶対的な幅は失われる。サイド攻撃が疎かになる理由でもあり、引いて守る相手の術中にはまる原因のひとつでもあった。

 各人のフィーリングに委ねる規律のない流動性は、最後まで改善されることはなかった。

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