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U-24日本代表は白星発進も苦戦。最大の課題は「規律なき流動性」

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by JMPA

 試合の開催が正式に報じられたのは、キックオフまで2時間という段階だった。来日するや南アフリカのスタッフ1人と選手2人の新型コロナ感染が判明。冬の母国から高温多湿な日本にやってきた国の選手たちは、満足な練習が積めぬまま初戦に臨むことになった。さらに出場不可能な故障者も抱えていた。この日本戦では、0-1でリードされる展開になったにもかかわらず、実際、わずか2人しか選手を交代できなかった。

 だが、この「アウェー指数」がマックスに達しようかという南アフリカから、「ホーム指数」がマックスに達しようとする日本は、なかなか先制点が奪えない。後半26分まで0-0で推移する大苦戦を強いられた。交代でベンチに下がった中山雄太が主審に抗議して、イエローカードをかざされる様は、いただけなかった。

後半26分、久保建英のゴールで南アフリカを振り切った日本後半26分、久保建英のゴールで南アフリカを振り切った日本この記事に関連する写真を見る 南アフリカのデービッド・ノトアン監督は、自らが立てた守備的な作戦について、今ごろ、失敗だったと後悔しているに違いない。

 立ち上がりから南アフリカは、4-2-3-1を敷く日本に、5バックになりやすい守備的な3バックで受けて立った。後ろに人が多い布陣を用いて、自軍ゴール前を固めようとした。

 一転して南アフリカが布陣を攻撃的な4-3-3に変更したのは、先制ゴールを奪われた後半26分以降。すると、急にパスコースが開け、ボールはピッチを広く鋭く、駆け巡った。過去に見た南アフリカのサッカーの中で、最もよかったと言いたくなるほど、劇的に変化した。

 もし、南アフリカが最初から4-3-3を用いて正攻法で向かってきたら、日本は危なかった。コンディションのいい中で対戦したら、さらに大苦戦していただろう。実は薄氷を踏む勝利であったことを、我々はもっと心配したほうがいい。

 後ろを固める相手に対峙する時のセオリーはサイド攻撃だ。それが唯一の方法になる。しかし日本は、そこが徹底されているようには見えなかった。終始ベンチ前に立って観ていた森保一監督からは、どんな指示が飛んでいたのだろうか。

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