スペイン人指導者が南野と原口の攻撃のまずさを指摘。逆にタジキスタン戦で評価した選手は? (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 しかし、先制した後も日本はペースを掴めないまま、持ち前の技術の高さを活かせない。相手の攻撃を容易に受けてしまい、自陣でも何度かミスを犯している。9分の失点は必然だった。クリアミスしたうえ、クロスのマークが緩く、入ってきた選手のマークも甘く、同点にされた。

 その後も『引き分け狙い』と目的が明確になったタジキスタンに対し、日本は手こずっている。守りをしっかり固められると、なかなかスペースを作り出せない。さらにタジキスタンの11番(ムハンマジョン・ラヒモフ)は左サイドをアップダウンし、日本の脇を突いていた」

 エチャリはそう言って、苦戦の流れを明確化した。

「しかし、日本は中盤の橋本拳人を中心にじわじわと流れを引き寄せる。橋本は川辺駿とのポジションに高さをつけ、距離感を測って、ボールを奪える位置に動かした。守りのポジション的優位を持って、攻撃を円滑にしていった。彼自身のサイドチェンジや縦パスで攻撃にリズムが生まれ出す。

 そして前半終了間際、右サイドを山根、古橋と繋ぎ、クロスをニアで南野拓実が合わせて、2点目を挙げた。

 この日の南野は、連係がうまくいっていなかった。パスを引き出せず、ほとんど攻撃に関与できていない。それは左サイドを担当した原口元気も同じことで、いつものメンバーがいつものプレーを見せられなかったことになる。

 ただ、この2点目を決めたシーンでは南野は能力の高さを見せたと言えるだろう」

 後半に入って、南野に代わって投入した鎌田大地に対し、エチャリは高い評価を与えている。

「後半から出場した鎌田は最初の20分間、ショータイムを見せた。速いパス交換で、相手を翻弄。浅野の決定機を演出するなど、ボールを引き出し、引きつけ、自在にキーとなるパスを送った。

 後半は選手の距離感がとても良くなっていた。橋本と鎌田の縦の関係ができたことが、チーム全体に功を奏したと言えるだろう。それによってパスにテンポが出てきて、ボールを運べるようになり、スペースもできて、それを使えるようになった。結果的にサイドの古橋や山根も攻撃で相手を脅かせるようになっている。

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