日本代表、ドイツW杯の衝撃的逆転負け。頬を平手でひっぱたかれた (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

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 それで流れをつかんだか。26分、右サイドに流れていた中村俊輔(セルティック)が、左足でニアサイドにふわりとしたボールを、GKとDFの間に落とす。同年、スコットランドのセルティックで、リーグ、カップの2冠を達成した中村は抜け目なかった。これに敵GKが反応し、パンチングで弾こうとしたとき、もみ合う形になってボールに触れられず、そのままネットに転がった。

 日本は、後半途中まで1-0とリードすることに成功していた。守りに入ったわけではない。焦った相手のボールをつっかけて、試合を決定づけるカウンターの好機もあった。

「2点目、3点目を狙っていた。しのぎ切るつもりはなかった。むしろ、守ってからの速攻を狙っていた」。

 中田英寿(ボルトン)の証言は、戦い方と符合するだろう。

 しかし、試合が進むにつれ、日本の動きは鈍くなっていた。気温は約40度。猛暑の消耗は想像以上だった。

◆2006年ドイツW杯、中村俊輔が明かす「俺が輝けなかった」理由>>

 そしてオーストラリアは、切り札となるティム・ケーヒル、ジョシュア・ケネディ、ジョン・アロイージを次々に投入してきた。パワープレーの強度がアップ。オーストラリアの指揮官、フース・ヒディンクは"日本は単純な高さやパワーに弱い"と見抜いていたのだろう。この点は、その後のワールドカップでも日本の"鬼門"となるのだが。

 日本には、苦しい状況を手当てする交代カードがなかった。負傷したDF坪井慶介(浦和)の代わりにDF茂庭照幸(FC東京)を入れたが、リードされて再びFW大黒将志(グルノーブル)というカードを切らざるを得ない有様だった。采配の差は明白だが、戦力的な劣勢とも言えた。

 残り6分、日本は地獄を見る。

 相手のロングスローに対して、GK川口能活(ジュビロ磐田)が飛び出すが、触れられない。無情にも頭上を越えたボールを蹴り込まれるが、一度はブロックした。しかしこぼれたところを、エリア内でケーヒルに叩き込まれた。GKの失策だが、この日、MVPに近いセービングを連発していた守護神を戦犯にはできないだろう。

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