永井謙佑が説くOA枠の重要性。東京五輪に必要な理想の選手も挙げた
オリンピック出場がサッカー人生に与えた影響
第3回:2012年ロンドン五輪・永井謙佑(後編)
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2012年ロンドン五輪の男子サッカー。日本はスペイン相手の初戦に勝利すると、グループリーグを2勝1分で首位通過。準々決勝のエジプト戦も快勝して、準決勝のメキシコ戦を迎えた。
永井謙佑が2012年ロンドン五輪を振り返り、そこで得た経験を語った エジプト戦で負傷し、出場が危ぶまれた永井謙佑はスタメンに入った。試合は、前半12分に大津祐樹のゴールで先制し、これまでの勝ち試合の展開に持ち込めた。永井は「1点取れたので。これでいける」と思っていた。
だが前半31分、日本はこの大会を通じて、ついに初の失点を喫してしまう。セットプレーからへディングシュートを決められた。
「この失点は痛かったですね。初失点で、しかも絶対に届かないだろうなと思ったボールを、(ニアサイドの)僕の前でフリックされた。それで1-1になって......。自分のせいもあるけれど、それまでずっとゼロに抑えてきたし、相手も強かったので、少しまずいなという雰囲気になりました」
内容的にはメキシコが優勢となり、前半は1-1で折り返した。まだ同点だったが、日本はメキシコの圧力を受け、初めて「敗戦の恐怖」を感じ始めていた。
それでも日本が勝てば68年のメキシコ五輪以来、44年ぶりのメダル獲得となる。永井自身は、後半に入る時も「負ける気はしなかった」という。
しかし後半20分、日本は自らのミスによって失点し、リードを許してしまう。
「この失点は、大きかったですね。前半にセットプレーでやられて、今度はミス絡み。そのショックがドーンと来て、みんな頭が下がってしまった。『あれっ?』という雰囲気になって、もう1回、みんなで行こうという雰囲気をつくれなかった」
永井はここまで、ムードメーカーとしてピッチ内外でチームを盛り上げてきたが、この時はそういうムードづくりができなかった。自分のプレーで勢いをつけたかったが、エジプト戦で負傷したモモ裏の痛みがひどく、「瞬間的なスピードが出せなくなっていた」のだ。
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