なぜ今、日本女子サッカーの新プロリーグ創設が決まったのか? (2ページ目)
そして、急激な成長を見せたのが、ヨーロッパだ。昨年のFIFA女子ワールドカップフランス大会ベスト8は、優勝したアメリカ以外すべてヨーロッパ勢が占めたが、その急成長の根幹にも、実はプロリーグ発足というキーワードがある。
各国サッカー協会の強力なテコ入れや男子競技で強豪として知られるチームの参入などにより、ヨーロッパの女子サッカー環境は急激に整備されていった。たとえば、スペインでは、2019年の国内リーグの首位決戦(アトレティコ・マドリード・フェメニーノvsバルセロナ・フェメニーノ)で6万人を超す観客を動員するまでに認知度を上げている。これは、サッカー文化が根づいているヨーロッパだからこその高まりとも言えるが、代表チームが強くなった理由のひとつとして、プロ化があるのは疑いの余地もない。
一方、日本でも過去に何度か、なでしこリーグをプロ化しようとする動きはあった。
2004年アテネオリンピック予選で初めて北朝鮮を下した"国立の奇跡"以降、なでしこジャパンという呼称は国内外を問わず浸透した。だが、その恩恵も長くは続かず、ギリギリの運営規模や、少ない観客動員など、日本女子サッカーを取り巻く環境は改善されてこなかった。
その後、2011年のワールドカップドイツ大会優勝、2012年ロンドンオリンピック銀メダル獲得という"史上初"の快挙を重ねてもなお、日本女子サッカーのプロ化は実現されなかったのだ。この現状を打開するためには、抜本的な改革が必要だった。
そんななか、2018年2月、前なでしこジャパン監督・佐々木則夫氏を筆頭にした女子プロ化実現の可否を探るワーキンググループをJFAの田嶋幸三会長が立ち上げた。なでしこリーグ理事会でも、今後の女子サッカー活性化が話し合われた。この両サイドから上がってきた議論が同じ着地点だったことから、プロ化への動きが一気に加速したというわけだ。
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