U-23代表齊藤未月の反省があぶり出す「きれいすぎるチーム」の問題

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

中盤でピンチを未然につぶし続けた齊藤未月中盤でピンチを未然につぶし続けた齊藤未月 敗北と早期敗退を告げる笛が鳴ったあと、周囲の仲間たちとは異なり、齊藤未月は一度も下を向かなかった。やるせなさ、怒り、驚き――。彼の表情には、そうした感情が映し出されているようだった。

「さっきも(フラッシュインタビューで)言いましたけど、どれだけボールを奪っても、ゴールを奪えなければ勝てないスポーツなので。負けじゃないですか、普通に。相手も強かったですし」

 試合後のミックスゾーンで、二日前に21歳になったばかりのセントラルMFはそう切り出した。やり場のない激情をなんとか押しとどめながら、胸のうちを正直に。

「最後(に決勝点を奪われたシーン)も、僕がつぶせたはずでした。あの時間帯、うちにチャンスが増えてきて。前の試合と一緒(の展開)ですけど、選手が入れ替わったこともあって、その教訓を生かせなかったと思います」

 まさかの2連敗──。アジアをリードすべき存在の日本が、AFC U-23選手権から最初に姿を消すことになった。東京五輪への予選を兼ねている大会ながら、日本は開催国として出場権を得ている。ただしそれがなければ、本戦行きを逃していたことになる。

 いや、状況が異なれば、日本はもっとやったはず──そんな意見もあるかもしれないが、現在のこのチームを見るかぎり、楽観的に捉えられるところは少ない。

 およそ半年後に本番を控えているチームなのに、明確な形がほとんど見えない。あるのは、機能性に乏しい3-4-2-1という並びだけだ。プランも、青写真も、メッセージも、何も感じられなかった。少なくとも、全体からは。

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