これで満足していいの?選手を称える森保一監督に違和感を覚えた (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 ただ、裏を返せば、連係面でのチグハグさが、逆に個の能力を浮き立たせた側面はあるだろう。

 すでに触れた中島はもちろんのこと、少々相手に囲まれようと縦パスを受け、ボールを収めることができる大迫にしても、ますます代えの利かない存在になっている。

 W杯本番まで3年ほどの時間を残す現在、個の成長を感じさせる選手がいることを喜ぶのか、連係の拙(つたな)さを憂うのかは難しいところだが、慣れやマンネリ感も含め、1年ほど前に日本代表から受けた好印象が薄れ始めているのは確かだ。

 この日の観客数は3万人を切る、2万9071人。パラグアイ戦が物足りない試合に感じられたのは、会場のカシマスタジアムに空席が目立ったからだけが理由ではないはずだ。

 もちろん、日本代表のほとんどが海外組で占められるようになった今、日本での試合には必ず長距離移動が伴う。加えて、わずかな準備時間で試合に臨む難しさもあるだろう。

 だが、それは今に始まったことではない。昨年9月、新生・日本代表が痛快な試合を見せていた当時も、同じだったはずだ。

 今回の日本代表は23名中、19名が海外組。海外組の占有率は高まる一方だが、海外組の数は現在も加速度的に増加しており、FW中村敬斗(トゥウェンテ)やDF菅原由勢(AZ)ら、活きのいい若手も順番待ちの列に並んでいる。

 幸いにして、W杯アジア2次予選は、実力的に考えて、すべての試合を日本が優位に戦える立場にある。ならば、常にベストメンバーにこだわるのではなく、全8試合を新戦力発掘にうまく活用することが、その後の強化につながるのではないだろうか。

 チーム立ち上げから1年。徐々に停滞感が漂い始めた今、そろそろ序列をシャッフルすべき時にきているように思う。

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