これで満足していいの?
選手を称える森保一監督に違和感を覚えた

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 2019年に入り、日本代表は1月から2月にかけてアジアカップを戦い、3月にはコロンビア、ボリビアとの親善試合。そこから2カ月強の間隔を空けて、6月にトリニダード・トバゴ、エルサルバドルとの親善試合を行なった。

 その後は、コパ・アメリカに出場したとはいえ、U-22代表に近い顔ぶれで臨んでいるのだから、今回の試合は実質的に、"およそ3カ月ぶりの国際Aマッチ"である。

 そんな久しぶりの試合――パラグアイとの親善試合で、日本代表は2-0で勝利した。

 しかも、森保一監督就任以降、日本代表の"売り"になってきた4人の攻撃陣――1トップのFW大迫勇也(ブレーメン)と、2列目のMF中島翔哉(FCポルト)、MF南野拓実(ザルツブルク)、MF堂安律(PSV)も、久しぶりに顔をそろえた。大迫、南野は、ゴールという結果も残している。

 だが、久しぶりの試合だったことや、海外組にとっては新シーズンが開幕したばかりでコンディションが上がっていないことなどを差し引いたとしても、それなりに鮮やかだったゴールシーンを除けば、内容的には満足度の低い試合だった。それが、率直な印象である。

 とりわけ気になったのが、相手ゴール方向へのボールの進みの悪さである。

 DF吉田麻也(サウサンプトン)、DF冨安健洋(ボローニャ)のセンターバックコンビは、(日本人選手としては)かなりビルドアップ能力が高い。マイボール時に、両サイドバックが高い位置を取れたのは、ビルドアップが安定していたからだろう。「もっと前からプレスをかけたかったが、日本の1対1のスピードについていけず、引いて守らざるを得なかった」(エドゥアルド・ベリッソ監督)というパラグアイを押し込み、センターバックだけでなく、MF柴崎岳(デポルティーボ・ラ・コルーニャ)、MF橋本拳人(FC東京)のボランチコンビも、積極的に縦パスを入れていた。

 しかしながら、問題はそのタイミングや状況である。

 大迫をはじめ、前線の4人がゾーンディフェンスの間で縦パスを引き出そうとしていたが、そのほとんどが相手選手を背負った状態でのものであり、どうにか受けたとしても、次の展開にはつながらない。そんなシーンばかりが続いた。

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