問われる底力。なでしこジャパンが
2つ目のアジアタイトル奪取へ (2ページ目)
菅澤が投入されたことで、前線でボールがおさまり、リズムが変わった。つながれたパスのフィニッシャーになって連係を生み出す起点にもなった。確かに流れは菅澤へ向かっていた。
「決めないといけない」「結果を出さなきゃいけない」
誰よりも菅澤自身が痛感していた。このところ、大きな決定機をことごとく外していた菅澤。この日、彼女にとって最大の決定機が隅田凜(日テレ・ベレーザ)からもたらされる。そのパス一本で菅澤は相手DFライン裏でフリーとなり、あとは決めるだけの状況に。しかし、またしてもゴールネットを揺らせなかった。たまらず天を仰ぐ。その数ミリ、1秒にも満たないわずかなズレがこの日も菅澤を苦しめた。
対照的に、途中出場で追加点を挙げて責をまっとうしたのが籾木だった。
「ケガから復帰して2カ月間、なかなか体もサッカーに適応せず、頭もみんなについていけなかった。それがアメリカ遠征(7月)で少し高いレベルでサッカーをしたことで一段、ギアが上がった」
こう話す籾木は、確かな手応えを掴んで挑む今大会、現地入りしてからはコンディションも上々だ。そして彼女のパフォーマンスを引き上げたのはその配置にもあった。
今までであれば、このタイミングで右サイドハーフに据えられることが多かった籾木。だが、高倉監督はこの日、籾木をトップ下に置いた。そして相手の守備網に絡まり、手詰まり感が漂っていた岩渕を右サイドへ移す。これがハマった。
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