「西野さんはカンで勝負する」。松原良香が語る恩師のマネジメント術 (3ページ目)

  • text by Sportiva 高橋学●写真 photo by Takahashi Manabu

「準備」といえばコロンビア戦ですよね。

 西野ジャパンの初戦だったガーナ戦は僕も見に行きました。試合後にブーイングを浴びていましたが、西野さんがブーイングされる場面を見たのは初めてでした。正直、「これで大丈夫なの?」と僕も心配になるような試合内容でした。

 ただ、西野さんが言っていたのは、照準を合わせているのはコロンビア戦で、すべてはコロンビア戦までの過程なんだということです。その後の日本はスイス戦で好転の兆しを見せ、最後のパラグアイ戦では一気にメンバーを変えてコロンビア戦に進む。すべてはコロンビア戦のための準備だったんですね。

 コロンビア戦で一番よかったのは、相手をリスペクトしすぎていなかったことだと思います。選手が「攻撃にいくぞ、勝ちにいくぞ」という気持ちになっていて、それが試合開始直後のPKを生んだ。相手が退場になるあたりは「持っているな」という感じですが、そういう精神的な部分を含めて、準備ができていたんだと思いました。

「試合の分析力」で際立っていたのがセネガル戦です。

 いまのセネガルの選手はほとんどヨーロッパでプレーしていて、感覚的な要素の強いアフリカのサッカーというより、組織的なヨーロッパのサッカーに変わっています。違いがあるとすればサッカー協会の力で、それが分析力の違いになって出たような気がします。

 セネガルには弱点があって、ボールサイドに組織だってブロックで動いてくるので、逆サイドが空くんです。この試合ではそれをうまく利用して、長谷部誠、吉田麻也、昌子源が中央に入り、長友佑都と酒井宏樹を高い位置に置き、乾がインサイドに入るようなポジションで相手を混乱させていました。セネガルは日本の選手をつかまえられなくなっていました。

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