スペインの知将が西野采配に苦言。「3人の選手は効果的でなかった」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Fujita Masato

「試合前に先発メンバーを確認したとき、私は思わず固まってしまった。もちろん、連戦が続き、選手の疲労などの理由はあったのだろう。決勝トーナメントを見据えた采配だったのかもしれない。それにしても、6人もの先発変更は危険すぎた」

 日本のポーランド戦後、ジョゼップ・グアルディオラも信頼を寄せるスペインの"慧眼(けいがん)"、ミケル・エチャリはそう言って、プランニングの問題を指摘している。

 エチャリは大会前から、ロシアW杯での日本の「サプライズ」を論理的に予想していた。結果はまさにそのとおりになっている。しかし、第3戦目に関しては「命拾い」と厳しく表現した。

 大胆というよりは無謀な選手交代で挑んだ西野ジャパンを、エチャリはどのようにスカウティングしたのだろうか?

ポーランド戦で長谷部誠に代わり先発した山口蛍。日本の中盤は安定を欠いたポーランド戦で長谷部誠に代わり先発した山口蛍。日本の中盤は安定を欠いた「正直、選手のコンディションがわからないので、迂闊(うかつ)なことは言えない。しかし、6人の選手を変更することは、大きなリスクを伴う。西野朗監督としては、『GKを含めたディフェンスラインを維持することで十分』と考えたのかもしれない。

 しかし、私なら制止していた"賭け"だろう。

 システムを4-2-3-1から4-4-2に変更したことにも違和感があった。戦術的観点から、『過去2試合のポーランドが、3バックで両ワイドに強力な選手がいるだけに、2トップでプレスをかけ、ワイドにふたをする』という目論見(もくろみ)があったのは読み取れる。そのために、右サイドには守備的な酒井高徳を起用したのだろう。

 しかしこの日のポーランドは4-4-2だったわけで、その見込みは外れている」

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