2018.07.01

南アW杯のメンバー入りは絶望。
そのとき突然、川口能活の携帯が鳴った

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

私が語る「日本サッカー、あの事件の真相」第7回
出番のない「第3GK」として招集されて~川口能活(1)

南アフリカW杯のときの日本代表について振り返る川口能活「ゴールキーパー。楢崎、川島、川口……」

 2010年5月10日、南アフリカW杯に臨む日本代表メンバー23名が岡田武史監督から発表された。

 川口能活(かわぐち・よしかつ)の名前が呼ばれたとき、会場がざわついた。

 なぜ、川口が……。

 当時、川口はジュビロ磐田に所属していたが、2009年9月、京都サンガ戦で相手選手と衝突して全治6カ月の重傷を負っていた。2010年シーズンが開幕してからも、そのケガはなかなか完治せず、川口は1試合も出場することなく、戦列を離れていた。

 そうした状況にあっての川口の選出は、まさに”サプライズ”だった。

 岡田監督は会見の中で、川口選出の理由をこう述べた。

「”第3GK”という難しいポジションだが、(川口の)リーダーシップに期待している」

「第3GK」「リーダーシップ」……。

 テレビ画面の向こう側から聞き慣れない言葉が、川口の耳にとび込んできた。

 これまで1998年フランス大会、2002年日韓共催大会、2006年ドイツ大会と、3度のW杯を経験してきた川口。フランス大会とドイツ大会では、正GKとしてプレーした。

 だが、今回はプレーヤーとしての役割を求められていない”空気”を感じた。川口にとって4度目のW杯となる南アフリカ大会は、これまでとは大きく異なる大会になりそうだった――。