W杯メンバー23名に思う。強豪国から、
ボールは誰がどこで奪うのか (2ページ目)
そして、その育成の責任者を長年にわたり務めてきたのが田嶋会長だ。技術委員長時代には、代表のある試合のオフィシャルプログラムに掲載されたインタビューで、日本の育成システムについて「世界のトップ4のレベルにある」と自画自賛していた。過大評価、事実誤認もいいところだ。
若手に好素材が少なくなったことは、いま急に判明したわけではない。少なくとも危険な兆候は、10年近く前から見えていた。ザックジャパン後は、多少、無理をしてでも若手を登用しなければならない4年間だったのだ。
だが、ハリルホジッチはそれを怠った。もはや若手と呼べない大島僚太でさえ、ハリルは試すことをためらった。当時の西野技術委員長がハリルに、積極的に登用してほしいと注文をつけたという話も聞かれない。手をこまねいていたのだ。若手が育たない責任は大人にある。前技術委員長、西野監督もそのひとりなのである。
ガーナ戦後、そして23人のメンバー発表の会見で、饒舌とは言えない西野監督の口から複数回、口をついて出た台詞が「対応力」と「中盤」だった。
ガーナ戦に3バック(3-4-1-2)で臨んだ理由について、対応力を身につけるためだと答えた西野監督。「本番では押し込まれることが予想される。ハリル時代に4-3-3と4-2-3-1しかやってこなかったので、対応力を身につけるために3-4-2-1をテストした」と述べた。「ひとつのパターン、ひとつのシステムに固執するより、そういうオプションを持たせたい」とも。
その対応力は、守備的サッカーも辞さないという意味を含んでいる。引いて守ることを「対応」と称しているのだ。
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