杉山氏も主張していたハリル解任。
信頼は失墜し、カオス状態だった (2ページ目)
岡田武史監督(当時)は、その数か月前に、解任騒動を起こしていた。代表監督をいったん「辞める」といいながら、翌日、「あれは冗談でした」と撤回。岡田さんへの信頼は、この一件で一気に失われた。岡田さんもまた、針のむしろ状態に自分が置かれていることを強く認識していた。最悪の状況に追い込まれるなかで、南アに向けて旅立っていった。
このままではマズい。なんとかしなければエラいことになる。そんな切迫感が、火事場の馬鹿力(失礼)に繋がったと言ってもいい。
いまのハリルホジッチが当時の岡田さんのような気持ちになれるか。その可能性があるかと言えばノーだ。自分の置かれた状況を客観的に分析する冷静さはないと見る。プライドの高さも災いする。記者会見等で見せる居丈高な態度を見れば、自分を客観視できていないことは一目瞭然。岡田さんのような、恥も外聞もない改革はできないと考える。
さらに、岡田ジャパンのような改造すべき箇所も、具体的に見当たらない。何を隠そう、中村俊輔をベンチに下げて本田を1トップで使えとは、その数カ月前からこちらが提案し続けてきた意見だった。
ハリルジャパンは、まさに巨大迷路から抜け出せない、にっちもさっちもいかない状態にある。
まず、サッカーの質が悪い。縦に速いサッカー、相手の裏を突くサッカーを、ハリルホジッチはモダンサッカーと勝手に称し、提唱しているが、それができているのなら、まあ問題はない。方向性に賛同できなくても、そのサッカーが機能しているなら、好みの問題で済まされるが、現実は完成にはほど遠い状態だ。
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