北澤豪が「これだけは許せなかった」という岡田監督の裏切り采配 (5ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 岡田監督が4バックに変更したのである。

「それを見た瞬間、『ふざけんな』って思ったね。めちゃくちゃ頭にきた。だって、俺が外されたとき、確認したんだ。そうしたら、岡田さんは『4バックには戻さない』と断言した。"やらない"って言ったのに、最後に"やった"。あのとき、俺のことを必要じゃないって言ったのは何だったのか。本当に、これだけは許せなかった」

 北澤は、その瞬間もきっとそうだったんだろうなという哀しげな表情を見せた。

 それから4年後、北澤は2002年日韓共催W杯の2戦目、ロシア戦に足を運んだ。

 代表の試合は、選手として行くべきところであり、観戦には行きたくなかった。しかし、4年前のアルゼンチン戦同様、どうしても見たくなったのだという。

 試合は、稲本潤一の決勝ゴールで日本が1-0で勝った。日本の歴史的なW杯初勝利に、スタンドを埋め尽くしたファンやサポーターの喜びが炸裂した。北澤は4年前のW杯予選、UAE戦のときに浴びたブーイングとは違う歓喜のシャワーを背に受け、そのまま帰ろうとした。

 そのとき、あるサポーターが声をかけてきた。

「おめでとうございます!!」

 その言葉を聞いて、北澤はハッとしたという。

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