カズとW杯メンバー落選。「衝撃の通告」をめぐる真実を北澤豪が激白
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私が語る「日本サッカー、あの事件の真相」第3回
日本初のW杯、衝撃の落選メンバー発表~北澤豪(2)
1998年5月末、フランスW杯を控えた日本代表は、スイスのニヨンで合宿を行なっていた。参加メンバーは25名。6月2日に、22名のW杯メンバーが発表されることになっていた。
前日のミーティングで岡田武史監督は、「昼前までに、メンバーから落ちる選手(3名)に連絡する」と語った。それ以外の選手は食堂に集合することになっていた。
その日、北澤豪は自分の部屋でのんびり過ごしていた。
昼の12時を過ぎて、「自分は大丈夫だ」とメンバー入りを確信した矢先、岡田監督から電話があり、部屋に呼び出された。
「12時を過ぎていたし、落選した選手についての話だと思って(岡田監督の部屋に)行った」
しかし、部屋に入った途端、北澤はただならぬ雰囲気を感じたという。
「これからW杯を戦ううえで戦術を変更していかないといけない。そうなると、北澤がやれるポジションがなくなる。それで、おまえを(メンバーから)外すことにした」
岡田監督は北澤の顔を見ず、視線をずらしてそう言った。
「はぁ? なんだ、こいつって思った」
北澤は落選のショックと怒りで、一瞬目の前が真っ暗になった。数十秒間、ふたりの間に流れた沈黙がやけに長く感じた。
「納得できなかったし、悔しかった。長くサッカーをやってきたので、『選手を決めるのは監督だ』というのは理解していたし、監督の言っていることもわかったけど......やっぱり頭にきた」
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