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「ジョーカー」は誰か。サプライズなきサッカー五輪代表から考える (2ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

 その一方で、この選考には手倉森誠監督のチーム作りの特徴が色濃く表れているようにも思える。それは、「アジア仕様」と「世界仕様」というように、戦い方を大きく変えないチーム作りである。

 かつての日本代表は、アジア相手にはボールを保持して主導権を握れるが、世界と向き合った途端に、守備的な戦い方へと軌道修正を迫られることが多かった。だが、手倉森ジャパンはそうした「ダブルスタンダード」に苦しめられないチームなのだ。

 手倉森監督は2014年1月の結成当初から、「失点しない」という点を重視してチーム作りを進めてきた。

 そのバックグラウンドにあったのは、U-19アジア選手権(U-20W杯アジア最終予選)における3大会連続ベスト8敗退(当時)だ。年々レベルが接近しているアジアにおいてリオ五輪への切符をつかみとるため、「守備力と粘り強さが必要だ」と判断した指揮官は、チーム結成当初から選手たちに高い守備意識を強く求めてきた。
※その後、2014年10月に行なわれたU-19アジア選手権でも日本はベスト8で敗退。同世代は現在、4大会連続で世界大会出場を逃している。

 チーム作りの守備的な色合いが一段と強まったのは、2014年夏のブラジルW杯のあとだ。ポゼッションに重きを置いた"自分たちのサッカー"に固執した日本代表が、グループステージであっけなく敗退するのを目の当たりにした手倉森監督は、「いくら理想のサッカーを掲げても勝てなければ意味がない」と語り、「柔軟性と割り切り」を(当時)U-21日本代表のキーワードとして掲げて、より一層、手堅いチーム作りを進めてきた。

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