2016.01.07

澤穂希の軌跡(1)
阪口夢穂とだからこそできた、「驚きのダブルボランチ」

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 女子サッカー界に多くの道を拓き、その足跡を刻んできた澤穂希。引退発表からスパイクを脱ぐその瞬間までに、彼女が紡いだ言葉からいくつもの場面がよみがえる。澤が残した”言葉”から、彼女の歩んだ道のりをたどってみた。

2008年北京五輪の前哨戦アジアカップで、笑顔を見せる澤穂希と阪口夢穂「佐々木(則夫)監督になって、自分の守備力を見出してくれた。そこから自分自身も守備に対する気持ちも考えも変わったと思っています」――澤穂希――

 2008年2月、佐々木監督が就任した直後、敢行されたのが澤のボランチへのコンバートだった。これまでオフェンシブな位置で脚光を浴びていた澤は、戸惑いを隠せなかった。このとき、同時にボランチへコンバートされたのが阪口夢穂(日テレ・ベレーザ)だ。のちに、不動のボランチとして澤の最高の相棒となっていく。彼女もまた澤と同じく、ゴールを生み出す選手だった。

 世代別カテゴリー代表では中心選手として活躍していた阪口も、なでしこ入りした頃はベンチを温め続けていた。その目の前でチームを牽引していたのが澤。いつかこのふたりが並んで立つ日が来れば最強になると感じていたものの、それは前線で肩を並べるものだと思っていた。ところがまさかのボランチ起用。誰もが驚愕した。もちろん当事者が一番驚きを隠せなかった。

「あのときはふたりともボランチ初心者で……。自分が絶対にやらないポジションやと思っていたから、お互いに。てんやわんやになっていたのが、今思うと面白い(笑)」(阪口)