澤穂希の軌跡(2)
宮間あやの想い「すべてはホマを輝かせるため」
「アヤ(宮間)は責任感が強い子。ひとりでいろんなものを背負わなければいいなというのと、そしてリオでも大活躍してほしいなという期待もしています」――澤穂希――
お互いに支え合って、代表として戦ってきた澤穂希と宮間あや 澤と宮間あやは、リーグでは一度もチームメイトとしてピッチに立ったことがない。澤の背中を追い続け、ようやく日テレ・ベレーザの下部組織から宮間がトップに上がった年には、澤は世界最高峰とされていたアメリカへ移籍を果たしていた。ふたりがチームメイトになったのは2003年。代表に招集されるまで、宮間は澤と共にプレーすることは叶わなかった。代表レベルの実力がなければ澤とプレーする資格がないと、宮間は自分自身を奮い立たせてきた。
「澤さんと一緒にプレーできることは当たり前のことじゃない。もっと自分たちで考えてプレーしないとダメ」。かつて、23歳の若き宮間がこう苛立ちを口にしたことがあった。月日が経った現在でもその気持ちにブレはない。
2011年ドイツワールドカップ後、澤が完治のメドが立たない「めまい症」に苦しめられたとき、「ホマ(澤)ひとりに背負わせ過ぎた......」と、宮間は自分を責めた。澤からキャプテンマークを受け継いだ宮間は、より一層自分に厳しくなった。そんな宮間を澤は気遣った。
2015年カナダワールドカップでは、ベンチを温めることが増えた澤だったが、ピッチ外では宮間が円滑に動けるように気を配り続けた。これまで宮間がやっていた若手選手へのフォローも買って出た。
「アヤのために私ができることは全部やる」
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