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ハリルJの「ベスト11」。キーパーソンは武藤嘉紀と永井謙佑 (3ページ目)

  • photo by YUTAKA/AFLO SPORT

「適応力」に長けた岡崎&長谷部は不可欠な存在
小宮良之(フリーライター)

小宮良之氏が選出した「ベスト11」小宮良之氏が選出した「ベスト11」 ハリルホジッチ監督が求めるサッカー選手の条件とは何ぞや?

 それは、「インテンシティ」と「インテリジェンス」の2点に尽きるだろう。具体的には、単純な球際の強さ、出足の鋭さ、そして相手に対処できる狡猾(こうかつ)さなどで、集約すると「ピッチでの適応力」になる。

 例えば、3月のウズベキスタン戦(5-1)の前半、最終ラインの前のスペースを使われ、センターバックが2トップに押し込まれていた。ハリルホジッチ監督とすれば、今野泰幸にアンカーの位置に入って、状況を落ち着ける強さと知性を見せて欲しかったに違いない。結局、指揮官は後半から今野を代え、水本裕貴を投入した。

 プレイマネジメントにおいて、日本人選手はまだ発展途上の域にある。目を見張るスピードを持っているが、プレイ精度は低く、素晴らしいクロスを上げても、1対1に脆(もろ)さがあり、結局は長所を十全に使いこなせていない。

「帯に短し、たすきに長し」といったところか。

 その中で、攻守にわたって逞(たくま)しい適応を見せるのは、岡崎慎司と長谷部誠のふたりだ。

 3月の親善試合初戦のチュニジア戦(2-0)、岡崎は後半途中から出場し、先制点を記録。どこにいればボールが入ってくるのか、その感覚が鋭敏で、ゴールの瞬間に立ち合ったときに逡巡(しゅんじゅん)がない。続くウズベキスタン戦でも、左サイドバック・太田宏介(FC東京)のクロスを呼び込んだが、驚嘆すべきプレイセンスだった。MF柴崎岳(鹿島アントラーズ)にゴールを譲った場面も勇者の余裕か。ブンデスリーガで得点を重ねているのも必然だろう。

 長谷部は31歳で、老い先短いベテランと見るか、不可欠な試合巧者と見るか。新生チームが少々狼狽(ろうばい)したチュニジア戦前半、周りをサポート、カバー、チャレンジし、均衡を保った。派手さはないが、敵に流れを渡さないプレイを繰り返し、集団の短所を隠すという長所を見せた。彼の行動やプレイは、チームが戦っていく中で“重し”となるだろう。

 内田篤人も、ふたりに匹敵する能力者だが、ケガで本調子には程遠く、治療が最優先か。

 現段階での推奨布陣は、先日の代表メンバー(バックアッパー含め)から選んだが、彼ら以外の若手の台頭は不可欠となる。

 現代表からは外れているが、Jリーグで最もコンプリートなFWは大久保嘉人(川崎フロンターレ)で、年間MVPはMF遠藤保仁(ガンバ大阪)というのが実情。しかし、2010年W杯メンバーが半分以上も2018年W杯で残ったら、戦いは険しい。

 FW齋藤学(横浜F・マリノス)、MF山田大記(カールスルーエ/ドイツ)、FW工藤壮人(柏レイソル)ら、2013年東アジアカップ優勝メンバーや、MF大島僚太(川崎フロンターレ)、DF松原健(アルビレックス新潟)らリオデジャネイロ五輪世代が競争力を見せられるか。彼らの奮起が望まれる。

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