ハリルJの「ベスト11」。キーパーソンは武藤嘉紀と永井謙佑 (4ページ目)
本田圭佑を最大限に生かす「4-3-3」が最適
佐藤 俊(フリーライター)
佐藤俊氏が選出した「ベスト11」 3月の親善試合では、4-2-3-1をベースに戦っていたが、システム(型)にはとらわれない監督ゆえ、相手との力関係や戦い方によって、臨機応変に対処していくだろう。それでも、ベースは4-3-3がベターと考える。というのも、準々決勝で敗れたものの、1月のアジアカップにおける戦いぶりが際立っていたからだ。すべての試合で相手を圧倒し、システムのフィット感が抜群だった。
ポイントとなるのは、インサイドハーフの本田圭佑。
現状、監督のプライオリティは縦への速い攻撃にあるが、最終的にはカウンターも、遅攻もこなせる“全攻撃型”を目指しているはず。それには、そのタクト(指揮)を執れる選手が不可欠である。それも、縦に速い攻撃のスイッチを入れるだけでなく、監督の目前で平然とバックパスを出して、攻撃をやり直すプレイやリズムを変えるプレイができるのは、本田だけ。それだけの度胸と、高い戦術眼が彼にはある。
これは、同時に本田がチームで生き残る術でもある。前線の選手には、スピードと突破力が求められるため、そこでの起用はタイプ的に難しい。しかし一歩下がれば、そこまでのスピードは要求されない。前線を支援しつつ、守備にも目を配るなどの、攻守の舵取り役に徹すればいい。かつて、中田英寿が攻撃的MFからひとつポジションを下げて、存在感を高めたことがある。それと同じようなことが実現できるのではないか。
もうひとつ、カギを握るのは、宇佐美貴史だ。
本来攻撃では、選手の組み合わせが重要となる。とすれば、前線の左サイドには、本田と長友佑都との連係を考えて、香川真司を入れるのが妥当だろう。だが、それではこれまでの代表と変わらないし、ハリルホジッチ監督が求める“速さ”と“強さ”という点からしても、ベストな選択とは言えない。
そこで、宇佐美である。宇佐美という“異端”を入れることで、本田や長友との関わり方に変化が生じたり、左サイドの攻撃に“違い”を生み出したり、できるかもしれない。それが、新たな攻撃パターンとなり、日本のストロングポイントになることを期待したい。
中盤の底のアンカーには、今野泰幸が適任だ。敵の潰し、球際の強さ、ボールを奪ってからの展開力は秀逸だ。長谷部誠も、アギーレ監督時代にこのポジションで自己の可能性を広げた。2018年W杯でも、チームを支える“ベテラン枠”として、今野との併用があってもいい。
また、本田が故障などで戦列を離れた場合は、遠藤保仁を起用したい。本田の代わりは、彼にしか務められないと思う。
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