アジアカップメンバーに見る、アギーレ監督の「進退条件」 (2ページ目)
アギーレ監督の初陣となったウルグアイ戦では、Jリーグでほとんど実績のない選手が選ばれたことに批判もあったが、少なくとも過去の実績にとらわれず、自らが目指すサッカーに適(かな)った選手を抜擢していこうという姿勢には好感が持てた。
何より、指揮官自身が就任会見で「将来性のある選手を呼びたい」と語っていたのである。こうして無難なところに着地されてしまうと、失望感は否めない。
確かにブラジルW杯当時の登録メンバー23名と比べれば、9名が入れ替わっている。その意味においては、"アギーレ色"が出ていると言えるのかもしれない。
だが、ブラジル当時のメンバーの中で今回外れたのは、ほとんどが控え組。主力組はそっくり残っていると言っていい。しかも、今回新たに加わった9名の新戦力にしても、それほど若い選手が選ばれているわけではない。4年後の2018年時点で30歳未満(1989年以降生まれ)の選手に限れば、DF昌子、MF柴崎、FW武藤のわずか3名に過ぎないのだ。4年後を見据えた新陳代謝としては、いかにも寂しい。
誤解を恐れず言うならば、アジアカップは「失敗が許される大会」だと思っている。もし優勝を逃したとしても、若い選手たちが緊張感のある戦いを経験する中で成長してくれれば、決して悪いことではない。
仮に、経験のあるベテランを中心にアジアカップを制したとしても、得られるのは結果だけだ。裏を返せば、優勝を逃した場合は何も残らない。「計算できる新戦力」を増やすこともなく、来年6月に始まるW杯予選を迎えることになってしまう。言うまでもなく、W杯予選は「失敗が許されない大会」。この先、新戦力の起用はますます難しいものになるだろう。
もちろんアギーレ監督にしてみれば、新戦力をテストしてみたが、めぼしい人材を見つけられなかったという言い分はあるだろう。しかし、過去の日本代表を見ても、多少の差こそあれ30歳を過ぎたベテラン選手には必ずと言っていいほど衰えが見えてくる。チームの立ち上げから中心選手としてプレイしながらも、W杯本番が近づくにつれ、パフォーマンスが落ちていくというパターンだ。
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