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【なでしこ】最悪な条件の戦いから見えた、なでしこたちの新たな課題 (3ページ目)

  • 早草紀子●文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 しかし、この試合では全く別の顔を見せた。「世界中が日本のサッカーのようなプレイをしたいと思っているはず。けれど、日本のマネをするのではなく、私たちの良さを生かしながら日本のいいところは取り入れていきたい」と口にしていたトニー・レディングス監督。その言葉通り、"つなぐ"サッカーを展開してきたニュージーランド。日本を徹底的に研究してきた様がうかがえる。澤穂希と宮間あやを重点的にケアし、空いたスペースに猛烈なスピードで切り込む。日本がリズムを掴む前に、仕掛ける。ニュージーランドの思惑に完全にハマってしまった。

 試合終了後、充実感を見せたニュージーランドの選手たちと握手を交わしつつも、険しさがにじむなでしこたちの表情からこのドローが"屈辱"であることを物語っていた。

 国内組は先週末にカップ戦を戦い、翌日から代表活動。そこから試合までの中3日の間に男子学生とのトレーニングなどハードスケジュールをこなした。疲労がピークになっていたことは否めない。それでもこのメンバーを見れば、誰もが期待するのはロンドンオリンピックのような戦いだろう。その中であえて口にした阪口の言葉が印象に残る。「前(ロンドンオリンピック時)に戻すのではなく、新しいことが出来たらいいと思ってます」。

 今は生みの苦しみの時。満足など得たときが最後だ。しばらくは山積みとなった課題と修正を繰り返しながら進むしかない。何せ、ライバルは一年前に力を尽くした自分たちなのだ。佐々木監督がワールドカップ連覇へ向けて、このメンバーを主軸に据えるなら、全員が一年前の自分を越えなければならない。

 さて、なでしこたちはここをどう乗り越えていくのか。まずはヨーロッパ遠征でのイングランド、ドイツとの強豪相手の2連戦に注目したい。

※イングランド戦(日本時間6月26日21時45分キックオフ)
 ドイツ戦(日本時間6月29日24時45分キックオフ)

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