遠藤保仁が語る「ブラジル戦からイタリア戦までの4日間」

  • 飯尾篤史●文 text by Iio Atsushi
  • スエイシナオヨシ●写真 photo by Sueishi Naoyoshi

中盤の軸となってボールを左右に配球していた遠藤保仁中盤の軸となってボールを左右に配球していた遠藤保仁 金星まで、あと一歩だった----。本田圭佑のPKと香川真司のゴール。日本は2点のリードで試合を進めた。一時は逆転されたものの、粘り強く追い付き、イタリアを攻め立てた。決勝ゴールを決められたのは86分。その結果、グループステージ敗退は決まったが、試合後の遠藤保仁はいつも通り、淡々と振り返りながら確かな手応えを口にした。

「ブラジル戦は何もできずに終わってしまって、自分たちはまだまだだってことを痛感した。だから、今度は、相手がイタリアだろうが勝ちに行こうとみんなで話していた。負けてしまったけれど、それでも積極的にトライできた。自分たちの戦いをしっかりできたんじゃないかと思う」

 積極的なトライと、勝ちに行く姿勢----。それは立ち上がりから確かに見えたものだ。5分には香川のクロスから前田遼一がヘディングシュートを見舞うと、8分には香川と本田のコンビネーションから左サイドを攻略。17分には遠藤のパスから香川がドリブルで持ち込み、ミドルシュートでイタリアゴールを強襲した。

 この試合で輝いていたのは、香川と岡崎慎司の両サイドハーフだ。いずれもワイドにポジションを取り、そこから岡崎はいつも通り、ダイアゴナルラン(斜めに走る動き)で中央の裏へ。香川はいつも以上にサイドでボールを収め、本田や長友佑都、遠藤とパス交換しながらチャンスを作っていった。起点をサイドに----。それが、この試合の狙いのひとつだった。

「映像を見て、イタリアが中央を固めてくるのは分かっていた。だから、サイドチェンジを織り交ぜながら、外から攻めていくイメージだった。そうして外を警戒させておけば、今度は中が空いてくるからね」

 イタリアのキーマン、ピルロに対しては、特定のマークを付けずに臨んだ。ポジション的にマッチアップするのは本田だったが、彼だけでなく、岡崎が激しいチェックで2度もボールを奪えば、遠藤もまた、ピルロに激しく襲い掛かった。

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