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【なでしこジャパン】「連動性と走力」の勝利。あきらめない心で手にしたW杯優勝 (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文 text&photo by Hayakusa Noriko

 失点さえなければ、必ずチャンスはある。ドイツ戦、スウェーデン戦でそれを実現してきた。しかし、相手はあくまでも最強の女王・アメリカ。ゴールを奪うことが難しいのは選手も十分わかっている。

 アメリカはボールを奪うとすぐさまスピードにのった攻撃を仕掛けてきた。特に左サイドのラピノエ、右サイドのオルレリーはスピードに加えて、キープ力もあり、そこにFWのワンバックがからめば、破壊力は抜群だ。

「パワーとスピード」のアメリカに、「連動性と走力」で対抗する日本。しかし、どうもしっくりこない。パスミスからピンチを招くことも多く、アメリカがゲーム序盤を支配。日本はハイプレッシャーにさらされながら耐え続け、前半が終わった。

 前半に勝負をかけていたアメリカに対して、日本はそれをしのいでチャンスを狙っていた。後半、アメリカに先制を許しはしたが、徐々に日本のいい攻撃パターンが出るようになってきた。

 すると81分、永里優希のクロスを丸山桂里奈が中央で受け、こぼれたクリアボールを宮間あやが押し込んだ。同点。試合は延長に突入する。

 延長戦の直前、最初に引き上げてくる澤を、水を持って迎えたのはベテランGK36歳の山郷のぞみだった。山郷は澤にドリンクを差し出すと、澤の足をほぐしはじめた。ベンチの選手たちが、ピッチで走り続けた選手全員に同じ行動を取った。

 延長前半、アメリカが再びリードを奪う。104分、警戒し続けていたワンバックの一撃だった。これで終わりか――。しかし、なでしこたちは誰ひとりとして、そんなことを思っていなかった。

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