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【プロ野球】5試合で398球を投げて日本一、そしてMVP 「車をもらったけど...」 山口高志が明かす50年前の意外すぎる後日談 (4ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Shiro Tanigami

 試合終了直後、山口は珍しくベンチでグラブを投げつけ、悔しがったと当時の記事にある。この試合の山口は、7回からの7イニングを投げ、8安打、4奪三振、3四球、1失点。第3戦で157球を投げてから中1日で、再び先発投手並みの110球を投げ抜いた。

 一方、広島のエース・外木場は200球を投げて完投しながら、勝利をつかめなかった。

1975年の日本シリーズでMVPに輝いた山口高志 photo by Kyodo News1975年の日本シリーズでMVPに輝いた山口高志 photo by Kyodo Newsこの記事に関連する写真を見る

【4連投の果てにつかんだ栄冠】

 続く第5戦は、先発の山田が第2戦に続く好投を見せた。しかし、阪急が2対1とリードして迎えた9回無死一、二塁。ここでも上田監督は山口をマウンドへ送った。

 延長13回の死闘で7イニングを投げた翌日。わずか1点差の9回に、シリーズ4試合目の登板である。

 当然、疲労はあったはずだ。それでも山口は、シェーンを右飛、衣笠祥雄を投ゴロ、山本一義を中飛に打ち取り、1点のリードを守り抜いた。阪急は3勝2分け。悲願の日本一に王手をかけた。

 そして迎えた第6戦。先発の足立が2回途中で降板したものの、第4戦と同様、戸田が好救援で試合を立て直した。

 4回には中沢の2ランで逆転。阪急が主導権を握ると、6回から、またしても山口がマウンドへ上がった。

 4試合連続、シリーズ5試合目の登板だった。この時点でスコアは6対2。シリーズを通して見れば、最も余裕のある場面での起用ではあった。

 それでも、3勝2分けで迎えた第6戦、4点リードの6回から切り札をつぎ込むのである。何をおいても、今日、確実に日本一を決める──。上田監督の采配からは、勝利への執念がひしひしと伝わってきた。

 そして山口は、その期待にまたしても応えた。夕暮れの西宮球場。独特の明暗が生まれるマウンドで、4イニングを1安打、無四球、4奪三振、1失点。

 最後は9回二死。右翼へのファウルフライをバーニー・ウイリアムスが捕球し、阪急の日本一が決まった。その瞬間、山口はグラブを高々と空へ放り投げた。長い戦いの重圧から解放された喜びを、全身で表現しているようだった。

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