「軟球なのに怖かった」 阪神・髙橋遥人の知られざる中学時代 ブルペン捕手を震え上がらせた衝撃の30球 (3ページ目)
【消えなかった天才左腕の輝き】
髙橋はそのピッチングスタイルを保ったまま、常葉橘高、亜細亜大へと進んだ。身長も180センチに届き、体重と筋肉量を増やしながら、各関節の可動域の広さと全身が連動するしなやかさという最大の長所を失うことなく、たくましい左腕投手へと成長していった。
ただ、その過程であまり目立たなかったのは、派手なパフォーマンスがなかったからだろう。亜細亜大では故障や不調に苦しんだ時期もあり、本人にとっては不満の残る4年間だったかもしれない。
それでも、体調が整った時に投げる、伸びのあるクロスファイア、鋭いスライダー、「魔球」と恐れられたツーシーム、そしてチェンジアップの威力は群を抜いていた。
だからこそ、2017年のドラフトで阪神から2位指名を受けたのだろう。
2018年に始まったプロ野球生活は、決して順風満帆ではなかった。2021年オフの左ヒジのクリーニング手術を皮切りに、翌2022年にはトミー・ジョン手術、2023年には左尺骨と左肩の手術を受けた。2022、23年の2シーズンは一軍登板がなく、一時は育成契約となるなど、長いリハビリ生活を余儀なくされた。
その後、2024年に一軍復帰を果たすと、同年は5試合で4勝1敗、防御率1.52。翌2025年も8試合で3勝1敗、防御率2.28をマークした。
昨季までのプロ通算成績は57試合、342回1/3を投げて21勝20敗、防御率2.79、358奪三振。万全の体調で投げられれば、ある程度の数字を残すことは予想できた。
【数字が物語る異次元の制球力】
ただ、今季の大ブレークまでは想像できなかった。驚くべきは、159イニングを投げてわずか17四球、2死球という、正確無比のコントロールだ。
もちろん、中学時代は飛び上がっても捕れないようなすっぽ抜けもあったし、大学時代も、むしろコントロールが課題だったと記憶している。それが今や、23試合に登板して150三振を奪うほどの先発投手が、1試合平均の与四死球数が1個にも満たない。しかも、5完投、4完封を記録するほどの圧倒的な投球を続けながらである。
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