【プロ野球】阪神・及川雅貴、悪癖を武器に変えたフォーム革命「受け入れたら感覚がよくなった」 (2ページ目)
【割りきりが生んだ投球の再現性】
どんな心境の変化があったのか。そう尋ねると、及川はこう答えた。
「自分のクセなのかわからないですけど、どうしても右肩が(二塁側に)向いてしまうんです。それを意識しちゃうと、リリースのタイミングが合わない。なので、もう受け入れることにしました。最終的に右肩と左肩の入れ替えさえできればいいことじゃないですか。むしろ右肩が入らないように意識すると、フォームに間(ま)がなくなってしまいます。そう割り切ってから、感覚がよくなりました」
右肩が入るのは、自分の特性。それならば、最初から右肩を入れた状態でセットポジションに入ることで、再現性を高めようと考えた。裏を返せば、ふつうの投手よりも広い可動域を使える可能性があるのだ。及川は言う。
「知識を学んで、自分の体の特性を知って、同じ動きを再現するにはどうすればいいんだろう? と考え続けてきました。昨年はそれがうまくかみ合いました」
高校時代からの変化は、投球時の左腕の振りにも見られた。高校時代は斜めに左腕を振っていたが、今は左腕を縦に振り下ろすように使っている。これは藤川球児監督から受けた金言が背景にあるという。
「プロ2年目の春季キャンプでキャッチボール中、当時SA(スペシャル・アシスタント)だった藤川監督から、『縦に振ってみたら?』とアドバイスをいただいて。ある程度意識したら、一軍を経験できて(39試合に登板)。その後は試してもできずにいたんですけど、一昨年の11月に藤川監督からまた言葉をいただいて、『時間もあるし、やってみよう』と思ったんです。今まで自分がやってきたことに、縦の動きをつけ足していって、ようやくいい角度を見つけた感じです」
縦の角度が加わったことで、ウイニングショットのスライダーにも変化が見られた。及川は「ドロップ成分が増えて、それも武器になりました」と明かす。確かな技術革新を経て、及川は今やリーグを代表するセットアッパーへと成長した。
2 / 3

