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【プロ野球】レギュラー争いでは終わらない 広島・佐々木泰が見据える「チームを背負う覚悟」 (2ページ目)

  • 前原淳●文 text by Maehara Jun

【プロ1年目は本塁打ゼロ】

 昨年の今頃は、一軍の天福球場から約5キロ離れた東光寺球場にいた。一軍ほどファンがいない静かな球場で黙々と汗を流した。オープン戦に入って一軍に合流するも、左太もも裏の肉離れで再び離脱。5月に初昇格を果たすも、今度は肋骨の疲労骨折で戦線離脱を余儀なくされた。

 ケガによる離脱を繰り返しながら、8月12日の再昇格からは片鱗を見せた。スタメン出場した49試合のうち、無安打に終わった試合は12試合と、コンスタントに安打を積み重ねた。打率.271を記録し、対応力の高さを示した。

 たしかな手ごたえは得たが、同時に悔しさも残った。プロ初本塁打は持ち越しとなり、オフにはメディアの前で「単打マン」と自嘲気味に表現することもあった。長打力は佐々木の持ち味でもある。

 昨季終了後に打撃のイメージを変えた。昨季までは球にスピンをかけて飛ばす打ち方を求めてきたが、「自分は球を乗せて飛ばすタイプという感覚があったので、左脇を空けないように」とスイング軌道に乗せて飛ばす意識に変えた。新たな打法を習得するため、基盤となる下半身を中心に筋力を強化してきた。

 覚悟は行動にも表れる。自主性が重視される今キャンプは、練習前の特打や特守などの早出練習がなく、ピックアップされた4人前後の選手がウエイトトレーニングをするのみ。参加全選手でのウォーミングアップが始まるまでは、各自の自由度が与えられている。佐々木はウエイトトレーニングに指名されなかった日は、同期の渡辺悠斗とともに特打を行なってきた。

 レギュラー白紙のチーム状況は、中軸不在の憂いの裏返しでもある。佐々木への期待値が上がっているのは、そういった芯の強さにもある。

 それはプロデビュー戦からも感じられた。最近はデータに頼る機会が増えていることもあるのか、三振直後や凡打後に白い歯を見せる場面が散見されるが、佐々木はほとんどグラウンドで歯を見せない。

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