【プロ野球】今中慎二が中日の投手陣にゲキ シーズンを戦いきるための体力や精神力、若手育成に必要なことにも言及した (4ページ目)
――大化けする選手がいないと、試合に出る選手も変わらないことになりますね。
今中 変わりませんよ。例えば「球種を増やす」といっても、今までのボールがダメならば球種を増やしたって仕方がないだろうと。今持っている球種のレべルを全体的に少しずつ上げたあとに新しい球種を覚えるのはいいのですが......。球種が増えたらピッチングの幅が広がると思いがちなのですが、そんなに簡単には覚えられないでしょ、という話です。
あと、リリーフのピッチャーたちに思ったのは、球種を3、4つ持っていても、試合となると2種類くらいしか投げていないんです。自信がある球種がそれだけなのかもしれませんが、それではダメ。全部の球種を使えば相手も的が絞りにくくなるわけですから、なぜ使わないんだと。球種のレべルを全体的に上げなければいけないという話は、こういうところにもつながってきます。
――長いシーズン、何度も同じバッターと対戦することを考えればなおさらですね。
今中 そうです。リリーフは基本的に1イニングですから、調子がよければストレート一本で抑えられたりもしますが、長いシーズンを考えればまず無理です。松山も、150キロ台中盤の角度のあるストレートとフォークで抑えていますが、今後もそれでいけるかというと、そうは思いません。もうひとつ、"遊び球"というかカウントを整える球などが必要だと思います。
ほかのピッチャーも、球種をいくつか持っているなら使わないと。清水などもストレートとフォークだけではなく、カーブもあるんだから投げればいいのに、と思います。橋本もストレートとスライダーを投げていて、調子が悪くなった時に打ち込まれるパターンですが、ほかにも球種はあるだろうと。一球見せるだけでも全然違うんです。打たれることを考えるのではなく、抑えることを考えるべきです。
――夏場にバテるという指摘がありましたが、球種が多ければそれもしのぎやすい?
今中 ごまかしがききますよね。先発にもリリーフにも言えることですが、年がら年中ストレートがいいわけではないので。調子が悪い時にどうやってしのぐのか、という話です。シーズンは調子が悪い時期のほうが長いですから。
(野手編:点が取れない打線の課題を指摘 チャンスの場面で「自分たちがピンチを背負った感じになっている」>>)
【プロフィール】
◆今中慎二(いまなか・しんじ)
1971年3月6日大阪府生まれ。左投左打。1988年のドラフト1位で、大阪桐蔭高校から中日ドラゴンズに入団。2年目から二桁勝利を挙げ、1993年には沢村賞、最多勝(17勝)、最多奪三振賞(247個)、ゴールデングラブ賞、ベストナインと、投手タイトルを独占した。また、同年からは4年連続で開幕投手を務める。2001年シーズン終了後、現役引退を決意。現在はプロ野球解説者などで活躍中。
著者プロフィール
浜田哲男 (はまだ・てつお)
千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。
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