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【プロ野球】「全力疾走は12球団で一番」 西武・大引啓次コーチが見た若獅子たちの変化と心を育てるコーチングの真髄 (2ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

 正解はない。哲学的な問いを通じ、彼らの思考を知りたかった。

「彼らの答えが出てきたところにツッコミどころがあったら、『それってどういうこと?』『じゃあ、それはこういうことなの?』と聞き、彼らがまた考える。いい答えは、そうしてブラッシュアップされていくのかなと思います」

【12球団一の全力疾走】

 大引コーチは春季キャンプから本格的に指導を始め、滝澤や村田、高卒5年目の山村崇嘉など、若手選手がいい意味で変わってきたと感じている。

「プロとしての取り組み方などを対話していると、すごく理解してくれる子たちです。ほかにもたくさんいるんですよ。彼らはいずれ、見本として先頭に立ってやってくれる子たち。私が『こういうルールだからやれよ』というのではなく、彼らが自発的にやることによって、そういうカルチャー、モラルができていく。『ライオンズってこういうチームだから、やらなきゃいけない』と自ら取り組むようになれば、いいチームになっていくと思います」

 大引コーチがライオンズの未来を信じるのは、春から変わってきた手応えがあるからだ。そのひとつが、全力疾走である。

「今のライオンズの選手は一塁までしっかり走ってくれる。12球団ナンバーワンですし、高校野球で甲子園に出ている子たちより上だと私は思っています。ぜひライオンズの選手が、野球界の見本となってくれるように。少年野球を教えているお父さんやコーチが、『ライオンズの選手を見てみろ』となってくれるのが理想かもしれません。決して100%で走れというわけではなく、アウトになるまであきらめずにやろうということで、それを継続的にやってくれる選手が本当にこのチームは多い。ある意味、感謝しているところです」

 全力疾走やシートノックの質を高めていく。たしかに気持ちを技術につなげることも重要だが、球団再建中のライオンズにはなにより個々のレベルアップが不可欠だ。

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