【プロ野球】数字では測れない選手の魅力を追い続けた47年 元広島の名スカウトが語る人を見抜く力の源泉 (3ページ目)
【ポテンシャルに惑わされるな】
── ドラフト候補生がマスコミを賑わせていますが、プロで活躍できるか否かを見極めるのはまた別物です。たとえば、50メートル5秒8、遠投120メートル、球速150キロといった、ポテンシャルに秀でた選手を探すのですか。
苑田 「身体能力が高いから」といって、プロ入りしてモノにならなかった選手をたくさん見てきました。数字は判断基準にしますが、野球をやるのは別です。野球センスがないとか、先が読めない選手はダメです。投手のクイック1.2秒で、捕手の二塁送球1.8秒ですから、ふつうに走ったら絶対アウト。それを3.5秒で盗塁を成功させるには、いかに投手のクセを盗むかが大事になってきます。だから足の速さよりも、そうした部分を見ます。
── 選手の性格はどうですか?
苑田 かつては、高校生は夏の大会が終わって退部届を出すと、家庭訪問ができました。学校の監督に聞いても、地道に練習に取り組むタイプなのかどうかすべてはわかりませんが、家に行ってご両親に聞くと大体の性格はわかります。
── ドラフト当日にすることはありますか。
苑田 当日の朝、野球部の監督や実家に確認の電話をします。それは、こちらの誠意です。「○位で指名しますから、よろしくお願いします。他球団からそれより上位で指名するとか、何か連絡ありましたか」と。
── もちろん、指名順位の微調整もあるわけですよね。
苑田 いざドラフト会場のテーブルを囲んでいると気が気ではありません。1位入札で競合、抽選はある意味仕方ありません。ただ、2位以降のウェーバーだと、指名された順番で決まっていってしまうので、手の施しようがありません。
── ドラフトに関して、印象に残っていることはありますか。
苑田 根本陸夫さんは私が現役時代の監督でしたが、西武やダイエー(現・ソフトバンク)の編成部長時代は、いろいろな意味で剛腕のスカウティングでしたね(笑)。
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