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伊藤琉偉はヤクルトの希望の星になれるか 首脳陣もビックリの打撃でレギュラー奪取に名乗り (4ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya

【人間としても急成長中】

 野球選手として急成長を遂げている伊藤は、人見知りの性格も克服しつつある。2度のお立ち台では、少し言葉に詰まる場面もあったが、立派な受け答えを見せた。

「本当に人前に出るのが恥ずかしくて......。昔に比べれば少しはよくなってきたんですけど、それでもまだ人見知りなんです。取材にも少しずつ慣れてきて、少しずつ話せるようになってきた感じです(笑)」

 前出の宮出コーチは、伊藤の人間的な成長を喜んでいる。

「人としての成長は、間違いなく野球の上達につながるし、本当に大事なことですよね。僕はどちらかというと、バッティングで打つことよりも、人として周りからきちんと認められる存在になってほしいと思っているので、そこを意識して琉偉には接してきました。『そんなのはアカン』とか、『もう少し自分の意見をちゃんと話したほうがいいよ』とか、そういう声かけをよくしてきました。

 野球選手としては、これからもっともっと壁にぶち当たると思うし、打ち始めれば当然相手にも研究されます。むしろ、今よりもこれからのほうが大事です。自分でもっと先を見据えて、現状に満足することなく頑張ってほしいですね」

 この先、伊藤が目指すのは実力でレギュラーの座をつかむことだ。

「(長岡)秀樹さんやムネさんがケガから戻ってきても試合に出られるようになりたいので、今は1試合1試合、結果を出すだけだなと思っています。目標は哲人さんのように若い頃からずっと試合に出続けて、あれだけ打って、走れて、守れて......自分はそういう選手になりたいので、そのために練習あるのみです」

 伊藤はそう語ると、室内練習場での早出練習に向かったのだった。

著者プロフィール

  • 島村誠也

    島村誠也 (しまむら・せいや)

    1967年生まれ。21歳の時に『週刊プレイボーイ』編集部のフリーライター見習いに。1991年に映画『フィールド・オブ・ドリームス』の舞台となった野球場を取材。原作者W・P・キンセラ氏(故人)の言葉「野球場のホームプレートに立ってファウルラインを永遠に延長していくと、世界のほとんどが入ってしまう。そんな神話的レベルの虚構の世界を見せてくれるのが野球なんだ」は宝物となった。以降、2000年代前半まで、メジャーのスプリングトレーニング、公式戦、オールスター、ワールドシリーズを現地取材。現在は『web Sportiva』でヤクルトを中心に取材を続けている。

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