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伊藤琉偉はヤクルトの希望の星になれるか 首脳陣もビックリの打撃でレギュラー奪取に名乗り (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya

 その言葉どおり、2月は一軍キャンプに参加し、フリー打撃では大きく強い打球を次々と放ち、オープン戦は最後まで帯同。そして念願の開幕一軍を果たしたが、「すべてがうれしいわけじゃなかったです」と、意外なことを口にした。

「やっぱり、(山田)哲人さんやムネさん(村上宗隆)がコンディション的にちょっと時間がかかるということでの開幕一軍でしたので......。できれば実力で勝ち取りたかった」

 結局、一度も打席に立つことなく、3月31日に登録抹消となった。

「そのことでモチベーションが下がったり、落ち込んだりすることはなかったです。またいつ呼ばれてもいいように、松山キャンプからやってきたことは変えずに、『もう一回バットをしっかり振れるように』とやっていました」

 4月18日に一軍へ再昇格すると、前述の巨人戦で大活躍。この試合では、ショートの守備でもすばらしいプレーを見せた。その後はなかなか出場機会に恵まれなかったが、「まだまだ一軍で試合に出られるレベルではなかったと思っていますし、出た時にはしっかり結果を残せるように」と、日々の練習から気持ちの準備を怠らなかったという。

「試合中は、先輩方がどういうふうに打席に入っているのかとか、守備でのコミュニケーションなどをよく見ていました。ベンチにいるからこそ感じられることもあるので、そこはしっかりできたのかなと思っています」

 伊藤は試合後、いつも反省の言葉を口にする。

「一軍の試合はワンプレーが勝負のカギを握る世界というか、ひとつのバントの失敗がそのまま負けにつながることもあります。一軍で生き残っていくためには、作戦面でも走塁面でも、もっと確実にやらないといけない。三振も、フルカウントまで持っていっての三振ならまだいいんですけど、三球三振もあるので、そこは粘って粘ってという姿勢を見せていきたいです」

 守備については昨年、土橋勝征二軍内野守備・走塁コーチから「ワンプレーの大事さを口酸っぱく言われてきました」と語った。

「ふつうのゴロを確実にさばくのはもちろんですが、球際の強さや、走者が二塁にいる場面ではアウトにできなくても打球を外野まで行かせないとか、そういう部分をずっと言われてきました。昨日の試合(6月18日の楽天戦)でも、自分が打球を内野で止めていれば1点を防げたかもしれない場面がありました。そういった"見えないファインプレー"というか、そういうところはこれからも大事にしていきたいです」

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