梶谷隆幸と高森勇旗が語る汗と涙の湘南シーレックス 「生まれ変わっても二度と戻りたくない」 (2ページ目)
高森 本当に振ってたからね。それに東京から横須賀までタクシー3万円なんて払えない。タクシーで帰る先輩がいれば便乗できたけど、いない時は電車で絶対に帰ることはマストだった。
梶谷 タクシーは死活問題だったもんな。寮の最寄り駅は安針塚だけど、歩くとけっこう時間かかるし、急行止まらないし、本数少ないから合宿所にタクシー呼んで追浜まで行くのが先輩たちから代々受け継がれてきた知恵だった。
高森 1年目、オレの給料は460万円でカジは480万円。当時汐入のレンタルビデオ屋にDVDを借りに行くと、タクシーだと往復で3000円。二階のクレープ屋に寄ると2000円。一回行くとトータルで5000円かかるわけ。「オレたち、お金の使い方間違えているんじゃねぇか」って話をしたじゃない。
梶谷 そこから武山(真吾)さんとか先輩の車に乗せてもらうようにしたんだよな。
【シーレックスで優勝争い】
高森 今の選手は追浜からあっちには行かないんだろうな。うらやましい。去年はファームも日本一になったしね。42年ぶり? 相当すごいことだよ。
梶谷 シーレックスも惜しい年あったんだけどね。
高森 3年目の2009年、ファームでレギュラーになって、一番試合に出た年だ。あの年はラスト8試合でジャイアンツ、シーレックス、ロッテが同率で1位だった。そこからオレたちは5連敗して終わったんだけど、最後首位攻防のロッテ戦で小宮山(悟)さんが先発に来た。インコースにカットボール攻められまくって「大人げねぇよ!」って思ったもん(笑)。
梶谷 あの年は藤江(均)さんがルーキーで、勝利数、勝率、防御率の三冠で無双していたんだよね。でも、いいと一軍に取られちゃうんだよな。オレたちからすれば「一軍にうちのエースを取られた」という感覚になるわけ。オレはファームでも優勝したかったから。
高森 その代わり、一軍から落ちてくるピッチャーは調子悪いからね。「調整のつもりでやらないでよ。頼むよ、優勝かかってるんだから」ってね。
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