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今江敏晃が指揮官としてこだわった「機会とタイミング」 楽天初の交流戦制覇はこうして実現した (3ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi

── 横浜高からドラフト1位で入団し、8年目の藤平尚真投手も中継ぎで覚醒しました。

今江 "機会とタイミング"に適合した例です。「もっと輝ける場所を」と思って、中継ぎに配置転換しました。2023年は11試合に先発して2勝4敗の成績でしたが、2024年は47試合に登板して20ホールド、防御率1.75をマークしました。侍ジャパンにも選出され、昨年11月のプレミア12では緊迫した場面で好投するなど、さらなる飛躍を遂げてくれました。

── 野手でも、若手の成長が著しかったです。

今江 辰己涼介がパ・リーグ最多の158安打を放ち、打率もリーグ2位の.294。また小郷裕哉は12球団唯一の143試合フルイニング出場を果たし、村林一輝もキャリアハイとなる139試合に出場して125安打を放ちました。彼らがAクラス争いの軸になってくれました。辰己と小郷のマインドの強さは頼もしかったですし、村林は打撃コーチとの二人三脚が奏功しました。

【理想は打ち勝つ野球】

── 1年とはいえ、貴重な監督の経験を今後どのように生かしていきたいですか。

今江 選手、コーチ、スタッフら100人以上の組織を、コミュニケーションを取りながらまとめないといけません。好結果を出せるようにチームをどう持っていくか、大変さを痛感しました。ただ、最終的にプレーするのは選手たちです。先述したように「機会とタイミング」ではないですが、選手の環境をどう整えていくか。重要なことは、どのようにして選手をやる気にさせるかだと思ってやっていました。

── ゲームの采配という部分で、一番難しいのは継投ですか。

今江 そうですね。継投は特に難しかったですね。継投はもちろん、采配に"根拠"を持って1年間の長いペナントレースを戦わなくてはいけません。

── 目指す「今江野球」の方向性は見えてきましたか。

今江 理想としては、打ち勝つ野球を目指したいです。ただ現実問題として、かなりの強打者が揃わないと、現在の"投高打低"の時代では難しいでしょうね。あくまで理想ではありますが、「ウチの打線なら点を取ってくれるだろう」と投手陣に思わせることができれば、先発も6回ぐらいまで思い切って攻めていけるし、好循環をもたらすはずです。もちろん、そのためにはリリーフ陣を整備し、守備力を高めないといけませんが。

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