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今江敏晃が指揮官としてこだわった「機会とタイミング」 楽天初の交流戦制覇はこうして実現した (2ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi

── その後、楽天に移籍し、梨田昌孝監督になります。

今江 梨田監督は近鉄、日本ハムの2チームで優勝を成し遂げるなど、勝負への厳しさを持つ監督です。一方、絶妙なタイミングでお声がけいただくなど、穏やかで選手を安心させてくれる監督でした。

── 平石洋介監督は、今江さんの現役最後の監督ですね。

今江 平石監督はPL学園の3学年先輩。年齢的にも近いし、選手とコミュニケーションを取って、選手に寄り添ってくれる監督でした。さらに戦略に長け、責任感とキャプテンシーあふれる監督でした。

── 今江さんは現役引退後、三木肇監督、石井一久監督のもとでコーチになります。

今江 三木監督は指導者としての術(すべ)、コーチングを学ばせてくれる監督でした。石井監督はコーチとしての役割、職務を指示し、任せてくれる監督でしたね。

── また2006年の第1回WBCでは、王貞治監督のもと世界一に輝きました。

今江 世界の王さんですし、とにかくオーラがあって、太陽のような情熱的で温かい監督でした。代表メンバーに選んでいただいて、光栄の極みでした。

【楽天初"交流戦優勝"の舞台裏】

── これまで仕えた監督の育成力、マネジメント力を、今度は今江さんが楽天の監督として結集し、「セ・パ交流戦初優勝」という形で結実させたわけですね。

今江 ひとえにコーチの方や球団スタッフの協力、選手みんなの頑張りのおかげです。シーズン序盤、チームがなかなか波に乗りきれないなか、一軍での実績や経験が少ない若い選手たちの奮闘もあって、優勝することができました。彼らにとって、今後の野球人生への自信につながったことは意義のあることだと思いましたし、そこに監督として携われたこともうれしかったです。

── 2024年の楽天投手陣は、ベテランから若手への世代交代の時期で、しかも絶対的守護神だった松井裕樹選手がメジャーに移籍しました。

今江 則本昂大をストッパーにするタイミングをうかがっていましたが、本人が察してくれたことは本当にありがたかったです。若手はみんなすばらしいポテンシャルがあって、それを生かせる機会とタイミングを模索していました。特に先発の早川隆久と藤井聖には「2ケタ勝とうよ!」と声がけしました。ふたりとも11勝をマークするなど、期待に応えてくれました(球団史上初の10勝左腕)。

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