なぜ浅村栄斗と中村奨吾のサードへのコンバートはうまくいかなかった? 高木豊が語るポジションによる守り方の違い (3ページ目)
【西武・外崎のセカンドからサードへのコンバートは大丈夫?】
――巨人の坂本勇人選手も、昨季から本格的にサードへとコンバートされることになりましたが、打球の角度があまり変わらないショートからのコンバートなので守備の負担は少なかったのでしょうか。
高木 スローイングも問題なかったですね。サードは、少しトリッキーな投げ方をしなければいけないケースもあるのですが、器用にこなしていました。かつて、ヤクルトの宮本慎也がショートからサードへ行った時のように違和感が少なかったですね。ただ、セカンドからショートやサードへのコンバートはやはり難しいです。
――今季、西武の西口文也新監督は、セカンドの外崎修汰選手のサードへのコンバートを明言しています。
高木 外崎は外野を守っていたこともありますし、"セカンドの選手"とは思っていません。セカンドを守っていた時期も長いことは長いのですが、彼の場合はコンバートがそこまで影響する選手ではないと思いますし、サードのほうが精神的な負担は減るんじゃないですかね。浅村が西武にいてセカンドを守っていた頃はサードにも入っていたし、(2019年の)プレミア12では侍ジャパンでサードも守っていましたから、ユーティリティープレーヤーという印象です。
――打撃不振に陥る心配はなさそうですか?
高木 むしろ、セカンドの守備の負担が大きいから打率が悪いのかもしれません。あとは、外崎の体がどれだけ元気なのかということ。今年で33歳ですが、体がヘタってしまうとサードは厳しいです。ただ、今の西武の打線は苦しいですし、外崎の打棒復活に頼る部分は小さくないでしょうから、コンバートがいい機会になればいいですね。
【プロフィール】
高木豊(たかぎ・ゆたか)
1958年10月22日、山口県生まれ。1980年のドラフト3位で中央大学から横浜大洋ホエールズ(現・ 横浜DeNAベイスターズ)に入団。二塁手のスタメンを勝ち取り、加藤博一、屋鋪要とともに「スーパーカートリオ」として活躍。ベストナイン3回、盗塁王1回など、数々のタイトルを受賞した。通算打率.297、1716安打、321盗塁といった記録を残して1994年に現役を引退。2004年にはアテネ五輪に臨む日本代表の守備・走塁コーチ、DeNAのヘッドコーチを2012年から2年務めるなど指導者としても活躍。そのほか、野球解説やタレントなど幅広く活動し、2018年に開設したYouTubeチャンネルも人気を博している。
■元プロ野球選手のYouTuberのパイオニア
著者プロフィール
浜田哲男 (はまだ・てつお)
千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。
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