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村上宗隆、岡本和真、佐藤輝明はメジャーで通用するのか? 名コーチ・伊勢孝夫が課したハードルは「日本で45本塁打、100打点」 (3ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi

 鍛えるのは体だけではない。メジャーの速球や変化球に対応するには、動体視力を鍛える必要がある。そのためには"慣れ"が必要になってくるが、日本でプレーしている限り、メジャー級の球を体感する機会は限られる。現時点でそのレベルの球を投げる投手は、中日から巨人に移籍したライデル・マルティネスくらいだろうか。

 それにメジャーでは、走力も求められる。村上や岡本は、メジャー基準で「走れる」と言えるほどのスピードはない。サトテルにしても走れないわけではないが、盗塁数を重ねていくような選手ではない。近年のメジャーを見ていると、40本塁打以上打てる選手は別として、「打つ・守る・走る」が揃ってはじめて高い評価を得られる。ひとつでも欠けると、レギュラー獲得は厳しくなる。

 また、メジャーでプレーするにはタフなメンタルも必要になる。村上は昨シーズン33本塁打を放ったが、相手バッテリーに勝負を避けられたことに焦り、フォームを崩した時期があった。サトテルにしても、追い込まれると無理にバットを振り回し三振が増えた。どれだけ自分を律することができるのか、そこも重要なポイントになるだろう。

 海を渡れば言葉の壁、移動の大変さ、食事の管理など、プレー以外の部分でも気を遣わなくてはならない。精神的な強さがよりいっそう求められるのは言うまでもない。

 いずれにしても、日本で安定した成績を残さないことにはメジャー挑戦は厳しい。メジャーでレギュラーとしてプレーしたいのなら、日本で45本塁打、100打点がひとつの基準になるだろう。

 課題は多く、一朝一夕で克服できるものではない。夢を実現するには、日々の努力と工夫が必要だ。彼らが今シーズン、どんな思いでプレーし、どんな目標を立てるのか注目したい。

著者プロフィール

  • 木村公一

    木村公一 (きむらこういち)

    獨協大学卒業後、フリーのスポーツライターに。以後、新聞、雑誌に野球企画を中心に寄稿する一方、漫画原作などもてがける。韓国、台湾などのプロ野球もフォローし、WBCなどの国際大会ではスポーツ専門チャンネルでコメンテーターも務める。

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