村上宗隆、岡本和真、佐藤輝明はメジャーで通用するのか? 名コーチ・伊勢孝夫が課したハードルは「日本で45本塁打、100打点」 (2ページ目)
日本人打者がメジャーで成功するためのポイント──それは"スピード"だと私は考えている。メジャーと言えばパワーのイメージが強いが、私が見て感じるのは、どれだけ力があってもスピードがなければ勝負にならないということだ。そのスピードとは、打席でのスイングスピードはもちろん、走者としての走力も含まれる。
【メジャーに必要な心技体】
この3人のなかで、私が最も注目しているのはサトテルだ。彼は昨シーズン後半から、前足(右足)をすり足気味に変えている。これはメジャー仕様のスイング、つまり「メジャー挑戦への準備を始めたのではないか」と思わせる変化だった。
プロに入りたての大谷もそうだったが、日本人打者は足を上げてタイミングを取る者が多い。少年野球でも、足を上げるフォームが一般的だ。しかし、メジャーでは160キロ近い速球や、150キロ台のツーシーム、鋭く曲がる変化球に対応しなければならない。フレディ・フリーマン(ドジャース)のようなメジャーの一流打者ですら、細かく鋭い変化球に対応するためにノーステップに近いフォームを採用している。
すり足で始動し、タイミングを取り、日本以上に速い投手のボールをできるだけ手元まで引きつけて打つ。ステップしない分、上半身の力が重要になるが、サトテルなら十分対応できるだろう。あとはスイングスピードをどこまで高められるかだ。
ただし、闇雲に筋肉をつければよいわけではない。ダンベルやバーベルで鍛えた筋肉を、スイングに適した形に変えていくことが重要だ。それが春季キャンプでの注目ポイントにもなる。
日本で40本塁打打てても、メジャーでは20本程度しか打てないという現状を打破するには、行ってからでは遅い。シーズン中から"メジャー仕様"のスイングスピードに高めていく必要がある。岡本は甘い変化球をうまく捉えて右中間スタンドに放り込む技術があるが、メジャーではその多くが外野フライに終わる可能性が高い。
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