岩隈久志が語る佐々木朗希のメジャー挑戦 重視される「イニング数の多さ」をクリアできるのか (3ページ目)
――岩隈さんもマリナーズ移籍後、投球の内容やスタイルが変わったんですか?
「そうですね。僕が日本で投げていた頃は、まだ"先発完投が当たり前"という風潮が残っていましたが、アメリカでは"100球以内で長いイニングを投げること"が重視されていました。そのため"決められた球数のなかでどのように試合を組み立てていくか"を考えることが増えましたし、よりメリハリをつけた投球を心がけるようになりましたね」
――佐々木投手のメジャー挑戦に対しては、「もう少しチームの勝利に貢献してから夢を追ってほしい」といった声も少なからず聞かれます。岩隈さんはどのように感じていますか?
「あくまで外から見た印象ですが、ロッテの首脳陣は佐々木投手の将来を見据え、とても大事に育てているように感じました。そういう経緯を見ていたファンの方々が、『もう少しチームに貢献してほしかった』『もう少し投げる姿を見たかった』という気持ちになるのは理解できます。ただ、ロッテ側が早めに彼の夢を応援することも含めてドラフト指名した可能性もありますし、一概には言えない部分ではありますね」
――メジャー球団との交渉期限は米東部時間で1月23日の17時(日本時間24日の7時)、その動向から目が離せませんね。
「まだ23歳と若いですし、本当に素晴らしい能力がある投手ですから、メジャー移籍が決まって、その舞台でどのような経験を積んでいくのか、とても楽しみです。将来的には、その経験を日本の野球界に還元して、次の世代の成長につなげていってもらえたらうれしいですね。さまざまな声もありますが、今はとにかく新たな挑戦を見届けたいです」
【プロフィール】
岩隈久志(いわくま・ひさし)
1981年4月12日生まれ。1999年にドラフト5位で近鉄に入団。2年目に初勝利、2003年に15勝を挙げるなどエースとして台頭。2005年には楽天に移籍して初代開幕投手を務めた。日本球界で通算107勝、沢村賞1度、最多勝2度など多くのタイトルを獲得。2012年にメジャーリーグのマリナーズに移籍し、7年間で63勝をマーク。2015年にはノーヒットノーランを達成した。2018年オフに巨人に移籍して日本球界に復帰し、2020年シーズンをもって現役を引退。2021年にマリナーズの特任コーチに就任。同時に、中学硬式野球チーム「青山東京ボーイズ」のオーナーを務めながら指導を行なっている。
著者プロフィール
白鳥純一 (しらとり・じゅんいち)
ライター。ソウ・スイート・パブリッシング所属。WEBサイト「キングギア」でのライティングをきっかけに取材活動を開始。スポーツの取材やインタビュー記事を中心に執筆を続けている。
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