岩隈久志が語る佐々木朗希のメジャー挑戦 重視される「イニング数の多さ」をクリアできるのか
岩隈久志インタビュー 後編
(前編:田中将大は「本来のピッチングに近づいている」 巨人での200勝達成に向けた改善点は?>>)
ポスティングシステムを利用してのMLB挑戦を目指すロッテの佐々木朗希。昨年12月10日に交渉が解禁されてから、移籍先のチームについてさまざまなニュースが飛び交っている。
一方で、佐々木のメジャー挑戦を不安視する声も上がっている。3年目の2022年4月に完全試合を達成するなど能力の高さは誰もが認めるところだが、過去5年間、故障やコンディション不良でたびたび戦線を離脱。2024年は10勝を挙げて自身初のふた桁勝利をマークしたが、規定投球回に到達には至らなかった。
そんな佐々木のメジャー挑戦について、シアトル・マリナーズでも活躍した岩隈久志氏はどう見ているのか。
メジャー移籍に向けて交渉中の佐々木 photo by Sankei Visualこの記事に関連する写真を見る
【移籍交渉中の佐々木の心境は?】
――岩隈さんは2011年のオフにFA権を行使し、シアトル・マリナーズに移籍。しかしその前年には、ポスティングでのメジャー移籍を目指しながら移籍交渉がまとまりませんでした。現在MLB移籍を目指して交渉中の佐々木投手は、どのような心境でいると思いますか?
「まず、僕がポスティングシステムでのメジャー移籍に至らなかったことについて、多くの方が『交渉に失敗した』と認識していると思いますが、実際のところは球団との交渉がほとんどできないまま、契約期限を過ぎてしまったという状況でした。現在は、当時とは大きくシステムが変わり、オファーをかけている球団名や条件面が選手本人に明かされるようになり、その上で選手が行きたい球団を選べるようになりました。
今回の佐々木投手の決断は『MLBに挑戦したい』という強い思いがあってのことだと思います。僕が現役の頃よりも、不安になる場面は少なくなっているでしょうから、きっと期待に胸を膨らませながら、チームが決まるのを楽しみにしているのではないでしょうか」
――ちなみに、岩隈さんが2011年のFAでマリナーズを移籍先に選んだのは、どこが決め手になったんでしょうか。
「ありがたいことにさまざまなオファーをいただきましたが、金銭面などの条件よりも、本当に自分のことを必要としてくれるか、自分が挑戦したいと思えるようなオファーかどうかを優先して交渉を進めていきました。あと、当時のマリナーズにはイチローさんが在籍していたので、日本人選手がプレーしやすそうに見えた点も影響したと思います」
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著者プロフィール
白鳥純一 (しらとり・じゅんいち)
ライター。ソウ・スイート・パブリッシング所属。WEBサイト「キングギア」でのライティングをきっかけに取材活動を開始。スポーツの取材やインタビュー記事を中心に執筆を続けている。