中学時代は準レギュラー、高校での実績も皆無 市立松戸の遊撃手・広瀬結煌はいかにしてプロの扉をこじ開けたのか (3ページ目)

「まず打球に入る姿ですね。さまざまなことを想定した入り方をしていて、あれは教えてできるものではありません。また、プロに入ると苦労しがちなスローイングがいい。（高校時代まで遊撃手の選手も）大体はスローイングに苦労して、ポジションがショート以外のポジションに散っていきますが、広瀬にはその心配が少ないです」

　ソフトバンクは今回のドラフトで"遊撃手"が明確な補強ポイントであったため、支配下ドラフトでも２位で庄子雄大（神奈川大）、４位で宇野真仁朗（早稲田実）、５位で石見颯真（愛工大名電）と３人の遊撃手を指名している。それでも福元スカウトが「大学生の庄子は即戦力ですが、同じ高校生の宇野、石見と比べて守備力は広瀬のほうが上ということも、指名に至った理由のひとつです」と語る。

　そして出場機会が増えれば、打席に立つ回数も多くなる。そのなかで「まだ非力ではありますが、変なクセがないので、体が大きくなって力がついてくれば面白いです」と、福元スカウトは打撃面での成長も期待する。

　広瀬は「雑草魂や今の気持ちを忘れずに、上の世界で戦うことだけを考えて、野球一本で頑張っていきたいです」と意気込み、「守備では誰にも負けず、打撃も勝負強くなっていきたいです」と活躍を誓う。

　中学時代はレギュラーではなく、高校も決して実績は豊富ではない公立校。それだけに、そこから成り上がることができれば、多くの選手の刺激になることも自覚している。

「公立校でしか学べないこともありますし、監督の知識も豊富だったので、ここまで成長できることができました。自分が活躍している姿を見せて、野球をやっている子を勇気づけられるようになりたいです」

　市立松戸のチームスローガンは「なりうる最高の自分になる」。まさしく、それを体現するようなシンデレラストーリーに期待したい。