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中学時代は準レギュラー、高校での実績も皆無 市立松戸の遊撃手・広瀬結煌はいかにしてプロの扉をこじ開けたのか (2ページ目)

  • 高木遊●文 text by Takagi Yu

「打撃を強化するか、守備を強化するかとなって、自分は守備を選びました。毎日、ひたすらノックを受けていたら、春には武器になっていました」

 大事にしている守備の基礎は「右足で溜めて捕って、捕ってから左足を着いて送球に移る」ということ。流山ボーイズで教わったことを、高校1年の冬から高い意識でやり続けたことで自らのものにしていった。

 朝隈監督は広瀬の取り組む姿勢に舌を巻く。

「上達の段階として『わかる→できる→いつでもできる』という順番の話をするのですが、それを地で行ってくれたのが広瀬です。『練習に依存しすぎだぞ』というくらい練習する。スローイングも基礎のドリルを毎日やっていき、それが噛み合った。柔らかさに加え、強い送球もできるようになっていきました」

【担当スカウトが絶賛する守備力】

 さらにグラウンド外でもひたむきな向上心を発揮し、年間を通して「タンパク質と炭水化物を多く摂るようにしています」と、白米は1日3キロの摂取を目安にし、卵は1日2個以上食べるなど努力を続けてきた。

 体を大きくするだけでなく、動きが鈍くなってしまわないようにと、朝隈監督ら指導陣からさまざまな技術や練習法を伝授されると、黙々と励んだ。広瀬は言う。

「瞬発力を高めるトレーニングをすごくやりました。短い距離のダッシュなど、一瞬で力を入れるようなトレーニングをやるようになって、瞬間的に力を出せるようになりました」

 そんな広瀬に目をつけたのが、市立船橋高出身で、千葉県を担当エリアのひとつとしているソフトバンクの福元淳史スカウトだ。

「瀧本を獲得した縁もあって、朝隈さんから『いいショートがいる』と言われて見に行ったのが、2024年の1月です。プロ野球のキャンプで多くの遊撃手を見たあとにも再び足を運んだのですが、それでも大丈夫だと思いました」

「大丈夫」とは、「プロの世界に入れても」を意味する。実績皆無の広瀬を福元スカウトが買ったのは、やはり守備力だった。

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