検索

【定岡正二×篠塚和典スペシャル対談 前編】「予想していなかった」巨人のリーグ優勝と、2025年に残った課題を語り合った (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

【ルーキーも注目の正ショート争い】

――阿部監督は「優勝したからこそ補強が必要」と発言していましたね。
 
篠塚 現場にいる者からすれば、「戦力はあればあるほどいい」という考えも出てくるものです。補強は菅野の穴を多少なりとも埋めてくれたら、という狙いがあったでしょう。あとは野手。内外野ともに現状では不安な部分があるので、補強の余地はあると思います。

――2024年のドラフトでは、1位で石塚裕惺選手(花咲徳栄高)、2位で浦田俊輔選手(九州産業大)、3位で荒巻悠選手(上武大)ら、楽しみな内野手を指名しました。

篠塚 そうですね。課題はショート。門脇誠をどうするのか、という点です。ドラフトで内野手を多く獲ったのは、門脇に危機感を持たせる狙いもあったと思います。彼は守備はいいけど、もう少し打ってもらわないと困ります。たまに打っても、翌日はダメということが散見されるし、「また打ち始めてから使い続けよう」となっても、すぐにスランプになったり。そういう流れになってしまいますからね。なので、ルーキーたちがバッティングでいいところを見せれば、門脇の出番がなくなってしまう可能性もあるでしょう。

 セカンドは長く固定できませんでしたが、2024年は吉川尚輝がよくやってくれました。来年も同じくらいか、もう少し成績を上乗せできれば、真のレギュラーになれると思います。

定岡 吉川は、まだ「レギュラーを確保した」とあぐらをかけるほどではないもんね。2024年のような活躍を続けていかないといけない。中山礼都もシーズン後半は打撃がよかったですし、ドラフトで獲った選手も含めて春季キャンプ、オープン戦と阿部監督は競争させると思いますし、過去の実績ではなく競争を勝ち抜いた選手を使っていくはず。僕らだって、現役の時は常に競争のなかでやっていましたから。競争が激しくなればチームが活性化しますし、まとまっていきます。

篠塚 問題は内野だけではないんですけどね。

定岡 そうだね。外野も、確固たるレギュラーと呼べるような選手が出てこないといけないね。

(後編:阿部慎之助監督の1年目の評価は? 明暗分かれた外野の若手たちも語った>>)

【プロフィール】

■定岡正二(さだおか・しょうじ)

1956年11月29日生まれ、鹿児島県出身。1974年のドラフト1位で巨人に入団。長嶋茂雄監督の指揮のものもと、1980年にプロ入り初勝利を挙げた。藤田元司監督が就任して最初のシーズンとなった1981年にはプロ入り初の2桁勝利(11勝)。翌年にはオールスターに初出場、自己最多の15勝を挙げ、同年代の江川卓や西本聖とともに"3本柱"として活躍した。通算成績51勝42敗3セーブ。現役引退後は、タレントとしても活躍の場を広げた。

■篠塚和典(しのづか・かずのり)

1957年7月16日生まれ、東京都出身、千葉県銚子市育ち。1975年のドラフト1位で巨人に入団し、3番などさまざまな打順で活躍。1984年、87年に首位打者を獲得するなど、主力選手としてチームの6度のリーグ優勝、3度の日本一に貢献した。1994年を最後に現役を引退して以降は、巨人で1995年~2003年、2006年~2010年と一軍打撃コーチ、一軍守備・走塁コーチ、総合コーチを歴任。2009年WBCでは打撃コーチとして、日本代表の2連覇に貢献した。

著者プロフィール

  • 浜田哲男

    浜田哲男 (はまだ・てつお)

    千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。

【写真】読売ジャイアンツ「ヴィーナス」オーディション密着取材・フォトギャラリー

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る