ドラフトで指名されなければ「人生負け組」なのか? 独立リーガーが戦う夢と現実 (2ページ目)
これまで20年、四国アイランドリーグを取材してきたなかで、結果的にNPBに進むことになる選手たちがよく口にしていた言葉がある。
「やりきりました」
そう言える選手は強い。やりきれたことで、納得して選手としてのキャリアを終えられる満足感、達成感がある。NPBに行けなければ、野球はもうあきらめる。そういった覚悟を持った選手たちが、捨て身で挑んだ1年間を終えた時、次の扉が開くケースは多い。
2019年の岸潤一郎(西武)もそうだった。
「NPBに行ける、行かれへんに関係なく、精いっぱいやったなと。自分のできることは」
獲るか獲らないか、選ぶのはNPB側である。選手側はどうすることもできない。それがドラフトだ。1年間やりきって、すっきりとした気持ちでドラフトの日を迎えられるか。
岸のように、最後はドラフトなど関係なく、自分は「精一杯やり切った」と言える。その境地にたどり着けた選手なら、たとえ指名されなくても胸を張って次の人生へと歩み出すことができるはずだ。
【人生のスタート地点としての独立リーグ】
NPBから指名されるには運も必要になる。現実的には年齢も大きく関係する。同レベルの選手なら、より若い選手が選ばれるだろう。25〜26歳の選手を獲得するには、スカウトも球団の上層部を説得し、納得してもらう必要がある。なぜ、この25歳なのか? 獲得して本当に一軍の戦力として育て上げられるのか? ダメだったときの責任が取れるのか? スカウトにもリスクが発生する。
いい選手だからNPBに行けるわけではない。むしろ完成された選手だからこそ、行けない場合もある。
NPBには行けなくても、独立リーグで培った経験を糧に、別の世界で大きな花を咲かせた先輩たちもたくさんいる。拙著『崖っぷちリーガー 徳島インディゴソックス、はぐれ者たちの再起』(カンゼン刊)では、そんな徳島インディゴソックスのOBたちにも登場していただいた。いずれもやりきって、納得して四国リーグをあとにした選手たちだ。
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