ヤクルト奥川恭伸が目指す最強の投球術 「奥行きのあるピッチングってなんだ?」 (4ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya

 奥川は身振り手振りで説明してくれ、「この"イキ"を生かせるのは投球フォームだと思っています」と話した。

「リリースでのボールの離し方だったり、指先の感覚だったり、力の伝え方だったり、フォームがうまくいけばすべてうまくいく。すべてがそこに詰まっているという考えです」

 さらにこう続けた。

「球速表示より速いと思わせるのとは、また違うというか......バッターにミートゾーンを前にもっていく意識を持たせたいとか、なんか合わないとか、そこをうまくやりたいんですよね。そういう意味で、(今季最終登板の)広島戦は2イニング目からそれが奥にズレたというか、そんな感覚でした。それができてくると、相手との駆け引きになるので楽しくなると思うんですよ。以前はそれをやれていた部分があったので、早く取り戻したい。そのためには真っすぐというか、真っすぐ系の球が大事なので、今はストレートを磨いているところです」

 オフには、球速を上げるためのトレーニングにも取り組む予定だ。

「ピッチャーにとって一番はスピードだと思っています。160キロのボールは、バットに当てるのが難しいですよね。ほかの競技でも投げる、走る、打つ、やっぱりスピードが一番の武器になります。なので、いま取り組んでいることに球速もついてくれば、縦も横も......という話になってきて、面白くなるなというイメージですし、そうなると"最強"じゃないですか(笑)」

 10月28日、奥川は韓国の斗山ベアーズ戦での先発が予定されていたが雨天中止。「でも、こういう長期のやつで完走するのは久々ですね。中6日への不安はもうなくなりました」と、満足そうにフェニックスリーグを終えた。

「シーズン中よりいい投球内容で、それがどんどんよくなっていったのはすごくうれしいことですね。これがシーズン中だったらと仮定するなら、すごくいい過ごし方だったので、これを1年間続ければうまくいくんじゃないかと思います」

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