高木豊がセ・リーグのFAを考察 巨人の大城卓三、DeNAの佐野恵太らがもっと活きる球団はある? (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

――巨人の高梨雄平投手もFA権を取得。今季は51試合登板、4勝3敗25ホールド、防御率2.04の好成績を残し、巨人のリーグ優勝に大きく貢献しました。4年連続50試合以上に登板し、巨人のブルペンには欠かせない存在ですね。

高木 高梨のように瞬発力で仕事をしなければいけない選手は、仮に球団が変わったとして、出だしでポンポン打たれてしまうと印象が悪くなりますし、立場がきつくなりますよね。そう考えると、実績と信頼を積み上げてきた巨人に残るのがベストだと思います。高梨も動く気はないと思いますけどね。今季はここまでよく投げてきていますし、これまで以上に球団も評価してくれているでしょう。

 先発はある程度重宝してくれて、抑えも大事にしてくれるけど、中継ぎは"使い捨て"にされたり評価されにくい、ということを、高梨は賢い選手だと思うので理解していると思うんです。それと、中継ぎは登板過多で肩やヒジを酷使して短命に終わってしまう選手も多いじゃないですか。なので、ここまでやってきた巨人で続けたほうが賢明だと思います。

――中日では、木下拓哉選手や福谷浩司選手がFA権を取得しました。

高木 木下は守備面が弱いので、他球団も評価するのが難しいんじゃないかなと。その一方で打つかといえば、あまり打てませんしね。少し前は"打てるキャッチャー"として評価が高かったと思いますが、打てなくなってしまい、それに伴って守備面も衰退してしまった印象です。中日で奮起するのがいいような気がします。

 福谷はシーズンを通して先発ローテーションを守れるかが疑問です。ただ、変化球は多彩ですし、真っすぐにも力がある。先発もリリーフも経験があるベテランですし、Cランクで年俸も高くないと考えれば、獲得に動く球団も出てきそうです。

(パ・リーグ編:「Cランク」でも注目の投手、ソフトバンク甲斐拓也などはどうなる?>>)

【プロフィール】
高木豊(たかぎ・ゆたか)

1958年10月22日、山口県生まれ。1980年のドラフト3位で中央大学から横浜大洋ホエールズ(現・ 横浜DeNAベイスターズ)に入団。二塁手のスタメンを勝ち取り、加藤博一、屋鋪要とともに「スーパーカートリオ」として活躍。ベストナイン3回、盗塁王1回など、数々のタイトルを受賞した。通算打率.297、1716安打、321盗塁といった記録を残して1994年に現役を引退。2004年にはアテネ五輪に臨む日本代表の守備・走塁コーチ、DeNAのヘッドコーチを2012年から2年務めるなど指導者としても活躍。そのほか、野球解説やタレントなど幅広く活動し、2018年に開設したYouTubeチャンネルも人気を博している。

著者プロフィール

  • 浜田哲男

    浜田哲男 (はまだ・てつお)

    千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。

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